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なんでも好きなものごちゃ混ぜに。下北沢の雑貨屋さん「HUBBUB」

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2018.11.2

古着、雑貨、音楽、演劇、食べ物、飲み屋などの様々なアート・カルチャーが集まる街、下北沢。

ゆっくり時間が流れるこの街に雑貨屋「HUBBUB」は存在する。

ハンドメイドのアクセサリーから輸入雑貨まで、取り扱うジャンルは様々。

コンセプトはお店の名の通り「ごちゃまぜ感」。

出迎えてくれた、波長の合った二人の店主に話を聞いた。

漠然と描いていた自分のお店を持つこと

 

(写真L→R 石渡さん、鈴木さん)

特に仲いいグループだったわけじゃなかったんですよね

石渡:元々小さい頃から何かを考えたりすることが好きだったんです。子供のときに遊んだおままごとの冷蔵庫とか、ベッドとかを置いたりするのが好きで。

高校生の時には自分で作ったものを誕生日の子にあげたりしてました。そういうのが好きだったので、お仕事って考えたときにもそういうお仕事をしたいなと思ったんですよね。

鈴木:私はたぶん雑貨とか、作るよりも見る方が好きだったんです。見たり買ったりするのが好きだったんですけど、田舎なので雑貨屋さんってあんまり無いんですよね。

当時は安価でもすごくかわいい雑貨屋さんが流行ってて、私は絶対その雑貨屋さんになりたいんだって思っていました。買って学校で使っていると、友達も褒めてくれるんです。持ち物全部かわいいねとか言ってもらえると、すごい嬉しくって。

石渡:二人の最初の出会いは、町田の専門学校でしたね。

鈴木:雑貨屋に憧れている、ちょっと夢見がちな子が集まるコースがあったんです。多量生産のコースの他に、一点ものの雑貨を作りたかったり、雑貨屋になりたい子のためのコースがあって。

石渡:店舗設計からやりました。図面を引いたり、デッサンをやったり。出来たばかりのコースだったみたいです。とりあえず色んなジャンルの授業があって、ディスプレイとかキャラクターのデザインもしたよねぇ。

鈴木:パソコンでもパッケージのデザインをやったね。フォトショップとかイラストレーターとか、ちょろっとさわりだけ。デザインに重きを置いた学校だったので。

クラスが一緒になって、だんだんと仲良くなっていって。二年になってからはぐいぐい遊ぶようになってましたね。私の家がたまり場みたいになってました。何人かで遊びに行って、何するでもないけど帰れなくなってくるとかね。
楽しかった。特に仲いいグループだったわけじゃなかったんですよね。

たぶん各々お店出したいって言ってて、一緒に出せたらいいよねみたいな感じの話はずっとしてたんだよね

石渡:雑貨屋さんって、正社員をとっているところがあんまりないんです。バイトから経験を積まないと正社員にはなれないので、各々好きな雑貨屋さんにアルバイトで入って。

鈴木:私はインテリア雑貨。結構広い店舗で、食器とかステーショナリーの細かいものだけじゃなく、家具まで置いてました。洋服以外は全部ある感じですね。

石渡:私は行きたかったところが募集をしてなくって。最初は学校から近いところの雑貨屋さんでバイトしたんですけど、その行きたかったところが募集をかけたのをきっかけにそっちにすぐ移動しました。

鈴木:卒業してからずっと、「二人でお店出そう」っていうのは言ってて。「二人で必ず開こう!」っていうより、たぶん各々お店出したいって言ってて、「一緒に出せたらいいよね〜」みたいな感じで話してたんだよね。

石渡:下北沢で古着屋さんや雑貨を見たりしながら、「開くんだったらこんなところがいいね」とか、「こういう感じで開きたいね」とか話してました。その期間がたぶん10年以上。

「二人でお店を出そう」という最終地点はあるけれど、いつとは決めてなかったんです。なんとなく雑貨屋のノウハウを勉強して、その最終地点に向けて二人でお金を貯め始めて。それから二人で雑貨を作り出して、イベントやフリマとかにも出展しだして。

店長でもお給料って微々たるものだから。もう雑貨屋をやめて本格的にお金を貯めたくなって。

もし無理だったら諦めよう、さっぱり

石渡:働いてたお店で店長までやって、ある程度勉強できたなと思ったんです。ここからはお金を貯めないとどんどん年ばっかとってっちゃうからって、辞めて一回OLをしました。それでお金を貯めて、雑貨屋とOLになる間にカフェでバイトしたんです。

そのカフェのオーナーさんが、作ってるものを売ってもいいよって言ってくれたので、委託というかたちで置いてもらってました。あと当時通ってた美容室のオーナーさんもいいよって言ってくれたので、そこでも置いてもらったりね。すごくいい方たちとめぐり合えて、経験を積めたんです。作る勉強や宣伝の仕方とか。ブログも書いたりとか、色々しましたね。

値段のつけ方もそのときに何となく学んで、今に続いてる感じです。お互いOLを経ての。

鈴木:私は長いこと地元で働いてました。お互い場所が離れてたので、東京に出たり戻ったりけっこうふらふらしつつ。

ちゃんと休みの日も二人で会う方がいいねってなって、じゃあ土日祝日休みのところで二人とも働いたらイベントにも出られるしお金も貯まるねって。それで私は静岡、彼女は横浜でOLを始めました。二人の積み立てみたいなものもやって。口座作ってね。

石渡:35歳までには出したいねって言って。

鈴木:もし無理だったら諦めよう、さっぱり。って。

石渡:ずるずるいくのも嫌だからって決めて、いくらまで貯めたら出そうって言って。

鈴木:私は静岡の会社で働いていたんですけど、神奈川の店舗にちょっと行ってくれない?ってお話を頂いて。それがちょうどお金も貯まるくらいのタイミングだったので、行きますと。

産休の人の代わりで入っていたので、その人が戻ってきちゃうと地元に戻るか店を開くかどっちかだったんです。今開かないと、たぶんもう開かないでしょって思って。
一回戻っちゃうと大変だから、「今だ」って。そしたらとんとんとお店の場所とかも決まって。

石渡:けっこうスムーズだったね。
鈴木:怒涛だったけどね。

ごちゃまぜに好きな物を

絞るよりももういっぱい詰め込もうって

鈴木:たぶん決めたのって2月とか3月だよね。決めてから開くまで4ヶ月くらいかなあ。

石渡:すごくいい場所で、大家さんもめっちゃいい人で。もうここしかないと思ったよね。この通りもみんないい人だったから良かったけど。

鈴木:ここで開くか開かないか、どっちかだなって。

石渡:元々雑貨屋で働いてたときの知り合いだったり、マネージャーだったり、今雑貨屋で働いてる友達とかオーナーさんに相談に乗ってもらっていました。店長をやっていた時に行ってた卸しのメーカーさんの、新商品出ますよっていうやつに行ったりもして。だからそんなにハードルは無かったです。好きなものもだいたい似ているので、一緒に見に行って、選んでっていう感じで。

コンセプトが、「ごちゃまぜで好きなものがいっぱいありすぎて、絞るよりももういっぱい詰め込もう」っていうものなので。お店の名前もそういう意味に。
なので海外からの物も欲しいなと思って、お店を開く前にも二人でタイへ買い付けに行ったりしました。

鈴木:でもお店に並べてみたら全然足りなくって。サイズ的にはそんなに大きくないお店なので、これくらいでいいかなと思ってたけど、店内スカスカで。

石渡:やばい何も売る物がないって見誤ったりしたね。

そこから自分たちで作ったものを増やしたりとか、あとは中国にも一回買い付けに行ったね。去年の11月くらいかな。叔父が中国関係のお仕事をしていて詳しいので、一緒に付いて来てもらって。

鈴木:全部やってもらったね。市場に連れてってもらって。

石渡:あと直接買い付けに行かれてる方にも、委託で置いてもらってます。お店を持っちゃったら買い付けに行くのがなかなか難しくなっちゃって。だったら誰かに頼めないかなと思って探してる矢先に出会えた方がいて。

あと専門学校が一緒だった子が今も雑貨を作っているので、委託で置いてもらってます。そういう繋がりがとても有難い。色々な協力も。

作ったものを直接手にとって見てもらえる環境

石渡:最初は自分で作ったものを商品にしようとは思ってなかったよね。でもフリマの時とかに作り始めて。

鈴木:フリマの時はついでにちょちょっとっていう感じです。お金を稼ごうって感じで自分の着ていた服を出したりしてたんですけど、プラスで売れるかどうか試してみようってシュシュとか作ってましたね。流行ってたんです。

それで売ってみて、ちょっと売れるかもってなって。デザインフェスタに出展しようってなってからかな、本格的に作り始めたのは。数はそんなに作ってなかったです。

石渡:お店を出す時点でハンドメイドの商品を出すっていうのは決めてなかったかなあ。作るのが元々お互い好きなんで、なんとなく始めたって感じだから。でも本格的に学んだわけではないので、やっぱり自己流というか独学で。

鈴木:本とか引っ張ってきて、かわいいのがあるから作ってみるっていうのをやっていただけなので。
でも今はそれが身になっています。ハンドメイドの方ってお店を持たれて無い方が多くて、細かいところが伝えられなかったりするんですけど、こうやって作ったものを直接手にとって見てもらえる環境が作れてるので。ここで一緒にお話しながら選んでもらったりとか、こっちも喜んでもらえたりするのが直接見られるので嬉しいですね。

石渡:実際ここでも作ってて工房兼みたいになっているので、いずれもうちょっとちゃんとできればいいなって。ごっちゃごちゃだもんね。ワークショップもやってみたいよね。

常に考えちゃうね。レジンにこれ入れたらどうとか、これだったら入るんじゃない?とか

石渡:デザインフェスタがきっかけなんです。最初は出す側じゃなくて、普通に雑貨が好きだから見に行ってました。そこでこれなんだろうって、めっちゃかわいいってなって、たぶん調べたんだよね。自分たちでもいけんじゃない?って作り始めたので、もうたぶん10年くらい前かな。

鈴木:なんか失敗したよね。前にお菓子を固めたことがあったんですよ。かわいい色の砂糖とか。そしたらなんか表面がベタベタしてきたよね。
なんかベタベタしてる気がするってなって、それはちょっとやめて。

石渡:パスタとかも入れてたね。細かく切って。昔はそういうのもやってた。
あと水に入れておくと膨らむボールみたいなものも入れました。子供のおもちゃなんですけど、そのぷるぷるしたやつを悪ふざけで入れたんだよね。どうなるかなと思って。

そしたらたぶんすごい少ない水分を吸ったんだと思うんですけど、メリメリしてきて。固まった後も日に日に膨らんできて、レジンを裂いたね。

鈴木:誰これ入れたの、ちょっとふざけないでってなってやめたね、そっから。

石渡:きれいだったからあの色が。

鈴木:そうだね、でももうちょっとやめてねってなったね。
始めたばかりのときは集めていた物を使ってたんですよ。商品にはできないけれど、かわいいビーズとかボタンとかいっぱいあったんです。レジンに使うとかじゃなくてね、元々かわいくて買ったスパンコールとか。

それをここぞとばかりに使ってたんですけど、最近もうそのストックが無くなってきたので、またかわいいものがあったら買おうって。
レジンにこれ入れたらどうかなって、常に考えちゃうかも。やっぱり流行り廃りもあると思うので、新しいものも作りたいなと思いつつ。

石渡:今使ってる人が多い、UVレジンっていうのがあるんです。流行りだしたのは最近なんですけど、前からあるやつで。皆さんご自宅でも気軽に作れるっていう。

鈴木:そっちの方が私たちは慣れてるから、上手にできるような気がして。分厚いものもよく固まるので。

自由度も高い気がするし、各々のレジンで用途や長所がちょっとずつ違います。商品にしてる物もあるんですけど、それは使い分けられるようになったね。

石渡:向いてる向いてないっていうのが、なんとなくわかるようになってきたね。失敗はいっぱいあるんですけど、楽しいです。

二人で作る雑貨屋という空間

ペースがすごい一緒だから、感覚でなんとなく

石渡:姉妹って言われたりするよね。

鈴木:開いたばっかの時はめっちゃ言われました。商店のおじさんにも、「そんなこと言ってほんとは姉妹なんでしょ?」って。違うんですよーって言っても、またまたってね。似てきちゃうんですかね。喋り方とかペースがすごい一緒だから、タイミングが合うんだよね。

大人ですし、もうだいぶ歴史もあるので。お互いの家族も知ってるしね。でもきっと得意な分野とかは違うだろうし、何となく似てるんですけど詰めて話をしてるとやっぱり違うよねって。

石渡:好きな物も被ってるところは多いんですけど、たぶんこっちの方が繊細な女子っぽいかわいらしい感じが好きで、私はどっちかって言うとメンズよりな男の子っぽいものが好きだったりするんです。作る感じもなんとなく違う。できることもきっと違うね。

鈴木:得意な分野はたぶん違うと思います。具体的にどこって言われると分かんないけど。

石渡:感覚でなんとなく、ずっと一緒だから。

鈴木:でも開いてから分かったこともきっといっぱいあるよね。仕事も一緒にしてたわけじゃなかったので。
お店を開く前も話し合ってはいたけれど、考え方もまたちょっと違うよね、始まってからもきっと。

もう割り切っちゃった

鈴木:役割の分担はないですけど、ちょっとずつ決めてこうかなって言っている最中です。
一年目はもうとりあえず走ったって感じ。できることをとりあえずやって、色んな人の意見聞いて客層や流れを一年間で掴んでみようって。

一年間のデータをとったので、そこからも改善できる点を考えています。二人の仕事をもうちょっと分けたりとか、引継ぎをもうちょっとスムーズにするために分担しようかっていう話をしてて。

石渡:お互いどっちもやってるっていうことばかりなので。これってやってないのか、それともやってくれてあるのかみたいなのがいまいち分からない時があって。聞けばいいんですけど、ちゃんと分担できていればその手間もなくなるし。

もうちょっとね、考え途中です。ぶつかるって事はあんまりないんですけど、言いたい事は言う感じにしています。

鈴木:歩調をやっぱり合わさないと、なかなか上手くいかないと思ってるので。一周年の時とか、節目節目で話はちゃんとしています。でもご飯行っても何となくそういう話になったりとか、こう思ってんのねっていう感じの話し合いはするね。

石渡:でも開く前にすごい反対されることが多かった。周りの人にも、先生とかね。

鈴木:二人でやったことがある人からも、もう絶対やめたほうがいいよって。仲悪くなっちゃうからって。お金とかが関わったりすると、ぶつかることも増えるよって。しかも前まで一緒に住んでたんですよ、開いたばっかの時。もう絶対やめた方がいいよって言われて。

石渡:ずっと一緒なんて、信じらんないみたいな感じだったね。

鈴木:一年くらい一緒に住んで、もう割り切っちゃった。

石渡:殴り合いはなかったね。

鈴木:血は見てないね。ちょっと一回靭帯切ったけど。自分で転んでね。台車とか持ってたから足元が見えなくて、ひっくり返ったんだけど、意地でも着けた。もう元気です。

直接見てもらったり会話ができるような空間を大事に

石渡:これからはもうちょっと、アトリエ兼お店っていうのをちゃんとできたらいいなと思ってます。

少しだけなんですけど、お客さんが好きな物をチョイスして組み合わせてオリジナルなものを作るっていうのをやってて。そういった一緒に楽しんでもらえるような、それこそワークショップみたいなものをやりたいねってずっと言ってて。

せっかく作ってる側が店にいるので、自由な組み合わせとか、作るときのいいところを楽しんでもらえたらなっていうのはありますね。

鈴木:あとは背伸びせず、自分達のペースで続けていけたらなって。立派な志みたいなのは特に。二号店が欲しいとか、そういうのは無いですね。

今のようなスタンスでやりつつ、自分たちのお店の色が出せたらいいよねとは思ってます。
一番はこう直接見てもらったり会話ができるような空間を大事にしてからの、イベントに出たりとか。ネットショップもやってみたいな。

地方の方もいらっしゃるので、見てもらって更に気に入ったらまたご購入頂けるようなツールも今後できたらいいなと思っています。あくまでも基本はここでね。

下北沢も、もっと盛り上がったらいいのになと思いますね。一時はすごかった。今は好きな人がゆったりと過ごしてるようなイメージ。駅の開発も進みつつ、折角良き町並みもあるので。

石渡:古いところと新しいところが混ざってて、この通りなんか特にそうですよね。ここ発信じゃなくても、何かそういう繋がりを楽しみながら見つけてもらって、もっとわっと盛り上がったらいいなと思いますね。

街も人もHUBBUB

インタビュー中にもフラッと立ち寄るお客さんから、ハンドメイドのオーダーが。

お互いにアイデアを出しあい、楽しそうにデザインし、お客さんも楽しそうに意見を出す。二人の空気感が物語っている。

彼女たちが学生の頃から変わらない友達であるからこそ馴染みやすく、ハンドメイドの温かみを感じることができるのだろう。

INFORMATION

HUBBUB Official web site

Instagram

Address:〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-39-15(営業時間:11:00~20:00 定休日:月曜※祝日の場合は営業)

 

 

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