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CHAKIRACCHOのデザイナー・さかもとちあきが語る「攻めること」と「売れること」

FASHION

2019.2.22

カラフルな色合いとユーモラスなデザインをあしらったアクセサリー。
つい立ち止まって手に取ってしまう。そして思わずクスリと笑えてくる。個性的な作品をつくるのは、ファッションデザイナーのさかもとちあき氏だ。

原宿や下北沢、大阪などでアクセサリーブランド「CHAKIRACCHO」を運営する彼女に、ものづくりの根底にある考えや、ブランドの今後などを聞いた。

ものづくりへの感性を養った青春時代

とにかく楽しいことが大好き

昔からものづくりが好きで、わらじやオリジナルのおもちゃを作っていました。

とにかく楽しいことが大好きな子でしたね。

小・中学生になると、ファッションに興味が出てきて。アニメ「ご近所物語」や雑誌の「Zipper」や「CUTIE」とかの影響で、華やかなファッションの世界に憧れていくんです。

それで制服とか鞄にレースを付けてリメイクしたり、学校をサボってアメ村で遊んだりしていました。

クラブにも通いはじめて、高校1年ではクラブイベントを主催してDJをするなど、とにかく高校時代は好きなことに夢中になって過ごしてましたね。

ただ、余りにも自由に楽しんでいたので、親はかなり心配だったらしく(笑)。

ファッションやクリエイティブな道に進むことを激しく反対されて、間違って歯科衛生士の道に進んでしまったんです。(笑)

ただ歯科衛生士になっても中身は特に変わらないので、休日は自分の好きな世界で遊んでいました。するとコミュニティに周りのバンドマンや絵描き、ダンサーなどのおもしろい友だちが増えてきたんですね。周りが当たり前のように作品を発表する姿を見て「私もやってみたい」と思うようになりました。

特に思い出深い作品が「平成ラブどんじゃ」ですね。

モンスターの顔みたいになってる布団で、カップル2人で入れるんです。

両目からお互いが顔を出して、2人がイチャつくとどんじゃの口の部分がパクパク動いたり、鼻から手を出すと鼻毛っぽく見えたり(笑)。

オリジナルソングも作ってYouTubeにPVを投稿しました。当時は自分が面白いと思えるものだけをひたすら作っていましたね。

「売れること」の快感

もはや「売れてたまるか」って思ってました

2012年に結婚を機に東京へ移ったんです。

そこで「フィジカルテンポ」っていう漫画家やイラストレーターの方などが所属するポップアップショップに参加させてもらいました。

ポップアップショップとは、期間限定のお店のことです。フィジカルテンポでは、1つのテーマに対して各々が作品を創るっていう、大喜利のようなスタイルでものづくりをするのが決まりなんですよ。

「クリスマス」っていうお題では、粘土を使って「ヤンキークリスマスツリー」をつくりました。全身に電飾を付けたヤンキー型の置物で、スイッチを押すとクリスマスソングが流れます。

あと「ヤンキーアイフォンケース」や「農民アイフォンケース」も創りました。誰が使うねん!っていう巨大なスマホケースとか(笑)。

当時はとにかく攻めに攻めてて、もはや「売れてたまるか」って思ってましたね。

1~3カ月かけて粘土をこねながら、誰も使わないようなものを製作して、100万円くらいで売ってたんですよ。楽しんでほしいだけだったので、売る気がまったくなかった(笑)。

本業として歯科衛生士をしていたので、安定した収入があって。売れなくても生活できたんですよ。だから変なものばかり創れたのかも(笑)。

作品を通して社会とつながれた

当時は粘土の作品がメインだったのですが、試しにアクリル素材でアクセサリーも制作してみたんです。そしたらそれがバカ売れしたんですよ!

そのときに「売れるって、めっちゃ良いやん!」って。

多くの人が作品を買ってくれたときに、作品を通して社会とつながれたことを自覚しました。ただ「面白かったらなんでもいい」と思いながら創作していた自分に変化が起きた瞬間です。

それからは”売れる作品”を意識しはじめました。

30歳で訪れたデザイナーとしての節目

1年間、本気でアクセサリーを作ってみよう

アクセサリーが売れ始めたころに、ラフォーレ原宿のHOYAJUKUというお店から「ポップアップショップを開きませんか?」とお声をかけていただきました。

歯科衛生士になって10年目の、30歳になった年でしたね。

ちょうど「自分の人生このままでいいのか!?」と考えていた時期だったんです。自分のなかで「節目」でしたね。ポップアップショップなので常設ではなく2週間くらいで終わっちゃうお店だったんですけど「懸けてみよう」と思って仕事を辞めちゃいました。

それで「せめて1年間は、本気でアクセサリーを作ってみよう」と決意したんです。

ポップアップショップ期間中は、宣伝映像をつくったり新作商品を追加したり、商品のディスプレイを頻繁に変えてみたり、自分ができることを全部するように心がけていました。

すると期間が終わってから「このまま続けてお取り扱いをお願いできませんか」とご依頼いただけたんですよ。そこから今の活動につながっていきました。

やりたいことで生きていきたい

あの「節目のとき」を逃していたら、今も歯科衛生士をやっていたかもしれないですね。

歯科衛生士の仕事にも楽しい瞬間はたくさんありました。逆に今の好きな仕事でもやりたくない作業はあります。

内容や労働時間で行ったら、今のほうがはるかにブラックなんですけど好きなことにつながる苦労はまったく苦に感じないんですよ。

大変だけど、すごく楽しいですね。

逆にいうと自分の興味がないことで、チョットでも悩んだり葛藤したりするのは、本当に人生の無駄で、ストレスですね。その悩みがしょぼいほど地獄……(笑)。

30歳を超えてから「費やす時間の質」を意識し始めたんだと思います。

人の心理的に費やしたお金や時間の量が多いほど、途中でやめられなくなる効果があるそうなんですよ。だから30歳という節目で、時間の質を感じられたのは大きな経験でしたね。「節目」がなかったら決心できずにズルズルと歯科衛生士を続けていたかもしれません。

ものづくりを本業にしてからの意識の変化

ロックバンド・マカロニえんぴつのMVのスタイリング

作ることに対して「本気」になりました

デザイナーに転職してからは、ものづくりに対する意識が変わりました。

売れるものを作るっていうか。う~ん……作ることに対して「本気」になった感じです。

まず、手に取ったお客さんの反応をイメージするようになった。それと、トレンドを考えるようになりましたね。でも流行に乗りすぎて、周りのブランドと同じ物ばかり作っていても埋もれてしまう。

だからあくまでイチバンにオリジナリティを大切にしています。

「引っかかる何か」や「思わず突っ込んじゃう何か」を入れるように心がけているんです。着目するテーマだったり構造だったり、少しギミックを加えたり違う要素をMIXさせてみたりしていますね。

CHAKIRACCHOらしさを追求しながら、お客さんのアンテナに引っかかる商品を意識していますね。

他人と被らないおもしろいものが好きな人やファッションへの意識が高い人たちの感性に引っかかるアイテムを作りたいんです。

ブランドと自分の今後

デザイナーの他にアートディレクターも

2018年にロシアのEllen Sheidlinaさんと作品撮りをする機会がありました。

彼女はInstagramのフォロワーが420万人以上のかなり有名なアーティスト兼モデルさんです。来日した際にたまたまSNSでCHAKIRACCHOの宣伝用POPを見て声をかけてもらいました。

ほぼ初めてのアートディレクションなうえに以前からファンだった世界的に影響力がある人とのお仕事。しかもやり取りが全然喋れない英語で、制作期間がたったの3日で、もう正にドラゴンボールの「精神と時の部屋」状態!(笑)。

でも、ものすごくいい経験になったし、鍛えられましたね。

テーマは「オイランジェイケイ」です。

日本のデコラティブな文化をイメージした作品をつくりました。

そのほかの仕事でいうと、夫が映像ディレクターをしていることもあって、たまにスタイリストをしたり撮影小道具を作ることがあります。まだ手探りで進めているのですが、とっても楽しいですね。

人と協力しながら作り上げるのは完成したときの達成感が大きいし、気持ちが盛り上がりますね。

私は制作する媒体や素材にこだわりがなくて、いろんなものをつくってみたいと思っています。アートディレクターやスタイリスト、小道具づくりの経験はとても楽しいし刺激的です。

これからもディレクターやスタイリストの仕事は続けていきたいと思います。自分ができることはなんでもやりたい。未知の世界にどんどん挑戦したいですね。

ワールドワイドな動きも視野に入れつつ、活動したい

そのほかに、目指しているのは活躍の舞台を海外に広げることです。

今はInstagramで海外の方がCHAKIRACCHOを見つけてくれて、商品を買ってくれることもあります。以前よりも簡単に海外の方とつながれるようになったことを感じますね。

CHAKIRACCHOのアイテムには、和のテイストとクールジャパン的なポップカルチャーがあるので、外国人からの評価も高いんですよ。

日本でも海外でも、自分が行ったことのない土地で作品が展開されるのは、とても嬉しいです!

いろんな場所で展開して、たくさんの人にCHAKIRACCHOのアクセサリーを着けて、楽しんでもらうことが目標ですね。

媚びるわけではなく、奇をてらうわけでもない。そこに魅力が生まれる

「街を歩いていると、広告のデザインやみんなが身につけているものを、無意識にチェックしてしまうんです」。今、彼女は、生活すべてがものづくりに直結している。

minneやBASEなどのオンラインショップの隆盛により、個人のアクセサリーデザイナーや小物作家は増えつつあるのが現状だ。なかでもさかもと氏のアクセサリーが輝いて見えるのは、オリジナリティーを大切にしつつ、きちんとトレンドを分析できているからだろう。それはプロとして欠かせない条件であり”良い商品”を作るために必要なマインドだ。

世界的なインフルエンサーを使ったPRや、人気アイドルグループ「ゆるめるモ!」のメンバー・ようなぴさんとの共同のアクセサリーづくりを通して、CHAKIRACCHOの名前は徐々に若い層に浸透しつつある。

アンダーグラウンドから地上へ、サブカルチャーからメインカルチャーへ。ブランドは次にどのような仕掛けを見せてくれるのか。さかもと氏の今後に注目したい。

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