店主の地元である仙台産のお肉をつかった料理と陽気な音楽が、杯を交わし皆を笑顔にする。
なんとも居心地の良い空間「MEAT MEAT MEET(ミート ミート ミート)」は阿佐ヶ谷の憩いの場だ。
型に嵌らず突き進む、お店のスタイルには欠かせない店主の谷岡氏のライフスタイル、先々に見据えるものは一体何なのか語ってもらった。
自分の好きなモノを模索し続けて
苦手なことは仕事にして覚えてしまえ
最初はカウンターの中に入ってお酒を作る姿が、単純に「カッコ良いな」っていう漠然とした憧れでバーテンダーになったんだよね。小さいお店だったんで、キッチンにも入らなきゃいけなかった。
それまでは苦手とかじゃなくて、全くもって料理することに関心がなかったから袋のラーメンも作れない位だったんだよね(笑)
ただ、そこで教えてもらうようになってから、単純に「面白いなぁ」って思えて、どんどん料理にのめり込んで行った感じ。
そんな中、これまた漠然となんだけど「自分で店を構えるには何をしたら良いんだろう?」って考えるようになって、とりあえず「一通りの料理は作れる様になろう」とまず決めた。
自分は甘いものが得意じゃなくて。でもやらなきゃいけないんだったら、苦手なことは仕事にして覚えてしまえと思って、実はパティシエにもなったんだよ。
そこからは次々とやってみた感じ。
同級生がフランチャイズで中華料理のお店をやってたから働かせてもらったり。
中華を勉強している間にアジア料理やタイ料理が「面白いなぁ」って興味が出てきちゃって、今度はタイ料理屋さんの社長にお願いして、働かせてもらったりね。
興味なかったはずなのにドップリ浸かった感じ。
5年経ったら改めて考えよう
30歳手前ぐらいから本格的に独立を考えはじめたんだけど、結局俺って中華?アジア料理?一体何で独立すれば良いんだ?っていうのがなかなか定まらなかったんだよね。
自分の性格上、洋服も、音楽も、好きなもの全てにおいて凝り固めてなかったもんだから、ずーっと「俺はどういう店をやるんだろう、やりたいんだろう」って自問自答を繰り返していた気がする。
そんな中起こってしまったのが3.11の東日本大震災。
地元で物件を探すどころじゃなくなってしまったところに「東京で働いてみないか?」とありがたい誘いをもらえて、元々「東京に出たい」って気持ちは漠然とあったから、修行も兼ねて5年間って期間を決めて頑張りに行ってみようと。
独立についてはまた考えればいいかなと。
東京での職場は以前働いていた中華の大元会社で、当然アジア料理に所属できるものだと思っていたんだけど、配属されたのはまさかのラーメン屋w。
でもやったことないことだし、勤めると決めたらちゃんと勤めようと思って頑張ってみたら、結果ラーメンにもハマっていくっていうね(笑)
俺って「このカルチャー」が好きなんだなぁ
面白かったのは、海外出店プロジェクトに参加していた時に「2週間くらいだからアメリカ行ってこい」って鶴の一声で急遽アメリカに行くことになったんだよね。パスポート持ってなかったもんだから翌日には手続きしに行って。
現地の子を採用して、英語のレシピを渡して教えたら帰って来ようと思ってたら、採用された子が全員メキシコ人で「英語通じねぇぞ」と(笑)
日本から3人で行ったんだけど、1人帰り、また1人帰り、気づけば俺だけ結局1年帰って来れなくて。結果的にメキシコ人と仲良くなれたのは良かったかな。
アメリカって残業の文化がなくて終業時間が来たら自由で。お店がロサンゼルスだったんだけど、時間が余るもんだから1年かけてあちこちに行ってたら、自分の好きなものってよくよく考えると音楽も服も全部西海岸よりだなと。
「こっからカルチャーが生まれたのか!」って様々な文化を掘ってくうちに確信に変わって、今の店のスタイルが固まっていった感じだったね。
これからも追い続ける、何をやりたいか
何屋さんか決めるのは、別にお客さんで良い
日本に戻ってしばらくして5年経ったので、今度こそ独立してみようと。元々は仙台で物件を探していたけど土壇場で白紙になって。
もはや東京の方が慣れているんだし東京でやろうって決めて、知人に紹介してもらった物件がたまたま阿佐ヶ谷だったんだけど、実は上京して最初に住んだのも阿佐ヶ谷でw
もう直感的に「これは運命かもしれない、、、ここでやろう!」とその場で決めて場所は決まった。
さて、じゃあ何を扱う店にしようかと。はじめに決めたのは『肉』っていうテーマ。
自分が好きなものっていうのはもちろんだけど、同級生が地元仙台で肉屋をやっていて、生産者さんとも繋がっているから、何か仙台にできることはないか、育った町に恩返しできることはあるかなっていう思いもある。
大事なことは3回いった方が良いんじゃないか、っていうのでこのお店の名前になったわけだけど。
店名の『ミートミートミート』って見れば、肉なんだろうなぐらいしかわからない。でもそのぼやかした感じがいいなと。
イタリア料理とかアジア料理っていう業態分けられることをやめようと思って。
何屋さんか決めるのはお客さんで良くて。何かこっちから押し付けるようなことはしたくなかった。
メキシコ料理も出せるし、和食っぽいものも出せる。美味しい物、その時にみんなが食べたい物を出し続けられるお店が理想かな。
やりたいことをやっていく
今、飲食業界ってキツいイメージが定着してるような気がするんだけど、『なんかカッコ良かったから』って理由で俺がバーテンダーになってみた様に、「うわ、料理人てカッコ良いなぁ」「こういういうところで働いてるのカッコ良いなぁ」って子が現れてくれたら嬉しいね。
店自体はどんどん進化していく事は前提だけど、「やりたいことをやっていく」のが目標。うちらが楽しくなきゃ意味ないなって。
今レモンサワーが好きすぎて7種類ぐらいになってるし(笑)
軸は変わらないけどメニューは常に変わっている。
今までやってきた技術云々より、今が一番考えて一番勉強しているかもしれないから発見も多いし止まっていられない。
次はキッチンカーをやろうとか、フェスに出店してこっちからお客さん側に出向いって行ったりもしたいし。
アイディアは尽きないね。
だから突然、『FISH FISH FISH』になるかもしれないもんね。だいぶやり過ぎてるか、血迷ったらやるか(笑)
料理・人・経験はMEET(出会い)が作る
どんな状況も自分でプラスに消化し、その経験を活かしてお店と共に進み続ける谷岡さん。 インタビュー中にも次から次へと楽しそうにアイデアが飛び交う。
これからもどのように知れ渡って進化していくのかを楽しみにしつつ、また絶対にお店にも足を運びたい。そう思わせてもらえた。ぜひこの空間を感じてもらいたい。
- INFORMATION
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Accese:東京都杉並区阿佐谷北1-27-5
Tel:03-6886-4518
営業時間:18:00〜26:00(定休日:火曜、イベント出店時)