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“きっかけを作りたい” 2つのライブハウス運営 冨田清志

MUSIC

2019.4.10

立川COSMIC HALL 店長/吉祥寺DAYDREAM 制作 冨田清志

中学時代の初期衝動から”地元を盛り上げたい”と思い、

今では2店舗のイベントホールを運営することに。

個人イベンターからライブハウスの運営になった経緯、

そして今後の展開を話してくれた。

 

立川を盛り上げていこう

京都大作戦

中学の時に自分が兄貴の都合で京都大作戦に行ったんですよ。10-FEETの。
で、なんか感動してガキの俺でも10-FEETのお陰で京都とロックが超好きになったんです。日本の文化とロックがまじ混ざり狂ってる感じがしたんですよね。

高校に入ってバンド始めた時に、その事をふと思い返したんです。自分がバンドやってプロになろうと思ったときにとりあえず立川のローカルヒーローになろうみたいな。

周りを見渡したら、府中FLIGHTとか八王子のライブハウスとかやっぱブレないカラーもあって、立川にもそれが欲しくて、立川のライブハウスでずっと個人イベントを毎月毎月借りてやってたんです。

高3くらいからずっと立川で。とりあえず立川を盛り上げていこうみたいな。

イベントがライブハウスを作りました

大学1年生の代の時に今のバンドに入ったんですけど、それも関係なくずっと個人企画はやってたんですよ。これを京都大作戦みたいになれればなーくらいの感じで。

そのイベントを70回まで続けたんですよ。その時に、アルバイトで働いてたスタジオ会社の社長が、「こんだけ話題になってるからライブハウスにしちゃおう」って言ってくれて。

え!?と思ったんですけど。「とにかくそれを継続してやればいいから」って言われて続けたんです。やっぱ70回続けたときには周りに友達がすごいいっぱいいて、「お前の友達が使うようなライブハウスになればいいから」って言って。そのイベントがライブハウス作ったって言っても過言ではないぐらいの感じで。

そこから初めて仕事になったんですよ。その会社に入ることになって。

ライブハウス作るなんて、自分的にはもう半端ねーって感じで。
それ作るってなったのが21歳です。

そこから2年間でまずアルバイトしてたスタジオの店長に1回テストマッチでなろうって。人を使う仕事に慣れようみたいな感じで、スタジオの店長を1年間やって、もう1年間はどんなテイストにするか、照明だったりPAだったり機材の勉強をずっとしてたんです。

デザインとか労働数とか値段をどうするかとかっていうので、どフリーの1年間だったんですよ。もうずっと色んなとこ行って色んなライブハウス行って、こうやってみんなバンドがついてきてるんだなっていうのとかを調べて。

そして2017年4月に立川COSMIC HALLをオープンしたって感じですね。

足りなかったとこを形に

COSMIC HALLがオープンした後、2017年10月にアメリカ研修に連れて行ってもらって。それが自分の初海外だったんですけど、そこで感銘を受けたんです。”こういう雰囲気のライブハウスもいいなあ”って自分が思えたカタチがあったんですよ。

カリフォルニアで見たものを日本に持ってきたい、誰が来ても雰囲気いいなっていう感じに仕上げたいなって。

それがDAYDREAMを始めることになったきっかけですね。

アメリカのライブハウスって、もうほんとスピーカー1個あればいいよっていうくらいの、ほんとラフで。しかもいろんな種類のお酒とかあって、みんなで楽しそうに飲んでやってるんですよ。

これでライブやってんだっていう機材なのに、すげえいい感じにやってて。インディーズとかでデビューしてるバンドは、その中でも上手い。やっぱその中で最高のライブをするっていう。

それが本当にかっこよくて。アメリカがそんな感じだったんです。日本に必要なのはこれだなって思いました。

例えばCOSMIC HALLはドリンクカウンターがないから、ドリンクがあんまりイケてないんですよ、正直。それが今回のDAYDREAMでちょっと上手くイケてるかなって感じにレベルアップしたかなっていう。

足りなかったとこを形にできたって感じです。

COSMIC HALLは大阪のHOKAGE(ライブハウス)みたいな、ステージがあんまり高くないフロア一体型みたいなイベントホールをやりたいっていうところで、DAYDREAMはカリフォルニアのBARテイストに仕上げようっていうのがコンセプトですね。

これからどんどん成長させて

DAYDREAMはライブBARで、COSMIC HALLはライブハウス

今この2つあるけど、やっぱり箱のコンセプトは違うんですよ。どっちも俺がやりたかったことで。

COSMIC HALLは”ライブハウス”っていうのにこだわろうかなっていうので、やっぱ爆音出せるっていうところに置いた箱ですね。よりライブに特化したっていう。もう全然機材も違うんで。

DAYDREAMはその中でももっとストリートって言ったらいいのか分からないですけど、ほんと1個スピーカーあればいいよっていうくらいの、もっとラフでもっとお酒とかあって、誰でもできるような所にしたかったので。

たぶん来た人はパッと見てこれで成り立つの?って思う人もいっぱいいると思うんですけど、ほぼアメリカがそんな感じだったんです。

だから2つの箱でプロ・セミプロっていう感じの分担にはなってるはずなんです、俺的に。なのでDAYDREAMの方がぶっちゃけ出やすいし、アマチュア・インディーズの壁は無いんじゃないかって思ってます。

DAYDREAMはライブBARで、COSMIC HALLはライブハウス。
まだどっちも始まったばかりなので赤ちゃんみたいな感じだから、これからどんどん成長させたい。
どんどん最高のライブハウスにしていって、こっちも最高のライブBARにしていこうっていう感じで今やってます。

立川COSMIC HALL

COSMIC HALLを始めた当初は、実際に素人がライブハウスをやってるようなもんだし、「くそだな。」みたいな問題があってもいいと思ってたんですよ。思ったことあるんだったらどんどん言って欲しいくらいの感じでいて。

けど今のところ出てくれたバンドも「まじ最高だ!」って結構言ってくれてて、不思議と問題が起きてないんですよね。やっぱ一応肩書き上店長なもんだから、「アドバイスとかあったらお願いします」とか言われるんですけど、「いやむしろこっちが何か思ったことないですか」って言うんです。けど「こっちは最高です」みたいな流れが多くて。

だからすげえ今は有難いことに何もないなって感じですね。

最近は俺がやってるバンドのWAFYでも、バンドの練習やレコーディングとかをCOSMIC HALLでやってるんですけど、結構もうすげえベストな環境で。これがいいんじゃないかって考えて作った箱でやってるから。

それからバンドがどんどん固まっていったなっていうのも俺の中で大きなエピソードなんですよね。それがなかったWAFYを考えると結構不安定だったんですよね、おそらく。

仕事にこんな溶け込んでバンドできるのかってすげえ不安がってた21歳だったんですよ。でもやっぱり仕事もイケててバンドもイケてて、最近結婚もしたんで、これは全部必要だったんだなって感じはします。

それにできた後にいろんなかっこいいバンドに出会ったり、もちろんアメリカ行ったのもあるんですけど、周りにいる友達のバンドとかを素直にかっこいいと思えたりとか。

ただのWAFYトミーだったら、音楽もそんな深くまで掘り下げてないだろうし、今大事にしてるいろんなものに出会ってないんじゃないかなっても思います。

吉祥寺Daydream

DAYDREAMに関しては、正直オープンしたばかりというのもあって、まだどうなっていくのかなって思ってるところなんですよね。ただCOSMIC HALLがあってGOが出たもんなんで、特に心配はしてないです。

ただやっぱ2つあるわけだから、シンプルに出会いも2倍ないといけないし。
そういう意味では頑張らなきゃいけないなと思ってますね。

DAYDREAMは楽器もフリーで置いてあるので、ほんとにフラっと来てもらいたいです。スーツのサラリーマンが1日の最後にここに来て、急に弾いたらめっちゃ上手いとか、そういうのが今後あったら楽しいんじゃないかって思ってるんですよね。

だからふらっと来て、飲みながら音楽を楽しんでくれたらなっていうイメージです。自分の同級生とかでもやっぱ、世の中の流れ的にバンド諦めちゃって、俺はその時”寒いな”って思ったんですけど、今はそいつらを”助けたいな”って感じがありますね。

一度諦めた人達には完全に中指立ててたんですけど、ここは”お前らも遊べるとこ作ったからさ!”っていうところにしたいですね。

一般的にライブハウスに出るには、スケジュール組んで、対バン決めて、とかすごいしっかりしてると思うんですけど、それとはもう全然ベクトルが違うくて。ぬるっと来て、且つ上手かったら最高だなっていうところでやってけたらいいのかなって。『ライブBAR DAYDREAM』としてはそこを磨いていこうって感じです。

不景気っていうことで片付けたい

ライブハウス=イケてる人がいる場所

ライブハウスってイケてるとこなんですよ。 普段仕事して、あと3時間働いたらライブ行けるわ!って感じで仕事頑張って欲しいですし。

ライブハウスって、時間で言ったらオープンからクローズまでたったの4時間程なんですけど、「この日は仕事終わった後あのライブ行く!」っていうぐらいお客さんが思ってくれて常にスケジュールがパンパンになってほしいですね。

例えばそうなってくると、ライブハウスに行けるくらいイケてる日常を送ってる人と、お金貯めてやっとライブハウスに来れたよ、っていう人の2パターン。

だからライブハウスってイケてない奴がいない場所なんです。

でも実際は平日のライブハウスがガラガラだったり。
っていうのは俺はもう”不景気だ”っていうことで片付けたいんですよ。

もちろんバンドがだめなのかもしれないですけど、でもチケ代は変えなかったり、ドリンク代600円っていう、そこがぶれないんだってことはやっぱりすげえイケてる場所でなきゃだめですよね。

ライブハウス=イケてる人がいる場所じゃないと。

お金かけるところってコンビニのおにぎりじゃなくて、それを我慢して”好きなこと”っていうのがやっぱ芸術だよなと思って。
だからライブハウスに来てるお客さんが日常何してるかとかも知りたいし、超刺激たっぷりな箱にしたいんですよ。

ライブした後に「今日ありがとね」とか言って、「何やってるの普段?」とか言って、「え!病院で働いてるの!?」みたいな。
そうなると「半端ないね、俺も頑張るわ。また今度話聞かせて」って言って、次会って、どんどん深くなってって、お互いいろんな話を吸収して頭超良くなって、っていうのをしたいんですよね。

本気でライブハウスにハマってる

ライブハウスに”なんか辛いから行く”とか、じゃない。
これは俺の考え方が狭いのかもしれないですけど。

俺が10-FEETのライブ行ったときとか、そんな辛いから行ったわけじゃない。
むしろライブ行ってつまんなかったら怒るし。やっぱそのイベント自体が最高だったから行ってたわけだし。

今でもその感覚を忘れないでやるべきだと思ってて。

楽しくてイケてる場所であるべき。

アーティスト側も、ライブハウス側もそうやってかなきゃいけないんですよ。全員がね。
お客さんだけっていうわけじゃなくて、アーティストも楽しませなきゃいけないし、ライブハウスもそういう空間作りをちゃんとしてかなきゃいけないと思うし。全員で頑張らなきゃいけないことだと思うんです。

あとお客さんでたまに、年間今年120本行ったんですよとかいるじゃないですか。
でもそれを聞いた時に、”馬鹿だな”じゃないですけど、そういうリアクションを心の中でしてるバンドマンって結構いるんじゃないかって思ってて。

けどそれって超すげえじゃないですか、普通に考えて。そこまで懸けてるっていうのは自分の心の置き所がないからライブハウス来てるだけじゃなくて、その人たちはもう本気でライブハウスにハマってるとしか思えなくて。もう楽しくてしょうがないってことだし。

その人達が普段どういう仕事してるかもやっぱり気になるし、そういう人をナチュラルに増やしていきたいなと思うんですよね。そこに懸けてる何かをどんどん生み出していかないといけないなって、そう思うんですよね。

時代の流れ

今俺がこの仕事をやっててマジでやりがいなのが、うちの働いてるスタッフ達のモチベーションが高いことなんですよ。

けど本当に何にもできないんですよ、何にもできないのに超モチベ高いんです。ライブハウスのブッキングって思うと月何本やらなきゃいけいないとか、ある程度あるんですけど、月1本しかやってないのになんかすげえ楽しそうなんです。

実際言いたいこと言うと「お前もっとやらなきゃだめだよ」とかあるんですけど、めっちゃ楽しんでて、仕事をなめてる要素は全くないんです、みんな。音響陣も含めて、みんな超真面目にやってて、”どうしたらいいんだ”とか超考えながらやってて。

それが本当にすごい素敵だなって思う。だからオープン2年目っぽいっちゃ2年目っぽいんですけど、そういうリアルが今詰まってるかなって感じはします。だからたぶんクレームも起きないし。 だってみんな頑張ってるし。お客さんのためにやってるんですよね。

逆に辛い部分は、やっぱり最近配信とか流行ってるじゃないですか。そこで携帯が5Gになるとか、最近PerfumeがCMやってるんですよ、5GのCMを。で、なんか3D眼鏡じゃないですけど、そういう5G専用の眼鏡をかけると、PerfumeのPVでよく使ってる動き、電子の動きとかかが、ライブに対して混ざって出てくるっていうやばい宣伝動画があって。

それを見たときに、せっかくこれだって見つけた感覚が、もう今にもぶれそうになった感じというか、だから”どんどん最新はやってくる”って思った時に、その最新にもやっぱ応えていきたい気持ちはめっちゃあって。

けどやっぱ音楽の最近の環境を見てても、CDを流せる環境がほんと少なくなってきて、あれがほんとに焦るっす。 それがもう今一番ぼーっとしちゃうんですよね。仕事中に。 どうすりゃいいんだこれみたいな。

俺昔MDにFACTとか入れてたはずなんですよね。
配信が流行ったりとか、今後レコーディングスタジオとか練習スタジオ、ライブハウスがどういう風に進化してくんだろって思って。

今ライブハウス潰れていく中、よく作ったなって言われるんで、「最新で頑張っていきます」って言ってるんですけど、どんどん最新なものが出て、それについていけるかが不安です。時代の流れに。

どういうあり方が正解なのかも分からないし。でもやっぱり初めて作った時の芯が大事になってくると思うんですよ。「それでも俺達はこれが大事だから売るんだよ」って言わなきゃいけないと思うんですよ。それが続ける理由になると思うし。

人と音楽、人と人を繋いで

オーバーにしていきたい

COSMIC HALLの今後の目標は、ずばり”立川ナンバーワン”のライブハウスにすることですね。

立川と言ったらCOSMIC HALLっていう風にすること。

けどそれには立川BABELもそうはさせないって気持ちもあると思う。そこはもういい意味で、戦っていきたいですね。すごい感謝してる。ここまでの経緯も。ずっとイベントやってたのBABELなんで。

COSMIC HALLは初期衝動が詰まってる箱にしたくて。立川ではどっちが強いの?ってなっても、勝敗はいつも決まらないくらい争っていきたいです。

“立川ナンバーワン”。

DAYDREAMでいうと、やっぱ吉祥寺の町の中にあるってことを認知させたいですね。吉祥寺には井の頭公園があるよねくらいのレベルに、オーバーにしていきたいなっていう感じ。

「吉祥寺だしDAYDREAMがあるね、2軒目行くか!」みたいな。「 飲んだ後DAYDREAMで遊ぼうぜ」とか、「終電逃したらDAYDREAM行こうぜ」とか。 完全に飲みの二次会のカラオケっていう、カラオケ館に絶対負けないくらいの。

オーバーに持っていく感じが理想かな。「ドラム触ったことある?触ってみたいならDAYDREAMにあるよ!」って感じにしたいですね。

だから2つの箱は全然別モンですね。5年後は。

やっぱり”吉祥寺といえばDAYDREAM”となるようにしたい。

みんなの音楽を知る、楽しみを知るきっかけになりたい

自分自身としては、とりあえずこの2つの箱で留まるつもりはないって感じです。まだ全然満足してない。

もちろんやってるバンドも売れていきたいし、他にもCDショップとかもやってみたいんですよね。あとはセレクトショップっぽいのもやってみたいし。その他でも音楽の入り口になればいいなって思うものはやってみたいです。

やっぱりバンドだけで考えた時に、スタジオ入って作曲してレコーディングしてライブしてっていうのはあんまり地元のやつとか、音楽以外で関わるやつに最初はあんまり音楽の良さ伝えられなかったんですけど、今は結構できるんですよね。

COSMIC HALL使ったりDAYDREAM使ったりだったり、WAFYを使ったり色々。 ナチュラルに、WAFYもあるからっていうのもあるんですけど、「ほんとだまされたと思って来て」とか言えるし、その時にストリートカルチャーとか音楽に流れたりとか、入り口はいくらでもあるよなって感じてもらいたい。

“みんなの音楽を知る、楽しみを知るきっかけになりたい”って思ってます。

成人式の時に、「まだバンドやってんだ」とか「頑張ってんの?」とか人事の様に言われたんですけど、今は「俺あいつの店結構行っちゃうんだよね!」って言わせたいですね。

別にWAFYを好きって言われなくても別に極論いいんですよ。その地元のやつが音楽を好きになったら最高なんですよ。

それが今できてる世の中が少ない気がして。 そこをどんどん繋げていきたい。

人と音楽も繋いでいきたし、人と人も繋いでいきたい。

まっすぐな想い

“人と音楽も繋いでいきたし、人と人も繋いでいきたい”

全ての想いがこの言葉に詰まっている。

人・音楽・イベント・ライブハウス・バンド

インタビューをしていながら、

全てを繋ぐ冨田さんから出る”まっすぐな想い”に心を打たれた。

是非立川/吉祥寺に遊びに行った時は、冨田さんが作ってる世界観を感じてもらいたい。

INFORMATION

立川 COSMIC HALL

Daydream Kichijoji

WAFY

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