暮らしに、もっとサブカルを。アンダーグラウンド総合WEBマガジン

「もっと何かできる」日本の音楽シーンに情熱を注ぐ漢、ジョシュ

MUSIC

2018.8.3

海外でライブをしてみたい。。。

そんな想いを形にすべく、日本のバンドの海外ツアーブッキング、マネジメントを行うイギリス人のジョシュ。

海外シーンに触れていたからこそ感じている日本のシーン、そして日本の音楽シーンはどうなって行くのか。

彼が語る言葉一つ一つは全て本音だ。もしかしたら日本のバンドよりも考えているのでは、、、?そう感じてしまうほど、熱さが灯っていた。

夢を追いかけ日本に

熱が冷めないまま

初めて日本に来た時は18歳ぐらいの頃。ちょうど高校卒業して、次何しようかなぁって人生すごい迷っていた時で。

自分のいとこがバンドやっていて、日本でツアーをするから一緒に行こうよって言われて。

「あぁ行ってみたい・・・でも日本ってどこ?」って感じだった。

2週間ほどツアーに同行したんだけど、いとこの日本でのライブを観て、自分もイギリスでバンドをやっていたから「自分も日本でライブがしたい!」って思って。イギリス帰って来てから日本語の勉強が始まったわけ。

そこからは、日本語学校に半年ぐらい通った後、ワーホリみたいなことでまた日本に来て、ほとんど日本語の勉強ばっかり。

大学に入ってからも留学制度で1年間日本の大学で過ごした。それもただ日本語を勉強するためだけ。ほんと熱が覚めないままだったね。

自分が変えないといけない

留学生の時にインターンで日本のメジャーのレコード会社で働いていて、所属バンドがヨーロッパツアーに行った時、ヨーロッパのブッキングエージェントのプロモーションに頼んだら5〜6ヶ所ブッキングしてくれたんだよ。

ただ、プロモーターのギャラ高いのに、何も宣伝せずにただブッキングしただけで、色々な場所行ったんだけど5人くらいしかお客さんが来なかった。

これは流石にヤベェなと(苦笑)

最初はイギリス行かないって言ってたんだけど、せっかくここまで来てるんだからと思って、イギリスのライブハウスに自分で連絡して、地元のバンド2つ3つ呼んでもらって。

日本のバンドだからアサヒビール無料!みたいな感じでイベントをやったら、150人ぐらい集まってくれて。ツアー後にメンバーが「イギリスが1番良かったなぁ〜」って言ってくれて。

「やって良かったなぁ」と、この時からちゃんと音楽の仕事に就きたいと思ったわけ。

ずっと音楽の仕事がしたくて

卒業後はもちろん日本に住もうと思っていたんだけど、問題は仕事だったんだよね。ビザを取るのが難しくて。

そんな中、インターナショナルスクールの保育や英語の先生だったらすぐビザがもらえて、そこからは色んな仕事についた。貿易会社に入った時は、ビジネスジャパニーズだからすごい勉強になったね。

そんで25歳くらいで、もうちょっと何か将来について考えないとなぁと思ってた時に、友達からマーケティング会社で英語と日本語両方喋れる人探してるっていうから、もう学びながら仕事しようって思って転職した。

そこから5年くらい広告代理店でコンサルティングの仕事をしてて、凄く充実してたんだけど、やっぱりずっとどこかで音楽関係の仕事がしたいって気持ちは拭えなかったんだ。

イギリスから日本に、そして世界へ

日本の音楽が好きだから

そんなこんなで今の会社に転職したんだけど、給料がそれまでの半分(笑)。ただ、1人ずつクリエイティブなことをなんでもやってOK!ってところが決め手だった。

やっぱり日本の音楽に携わりたいと思ってたから「やってやるぞ!」って身が引き締まったかな。

今、ROAっていう三味線が入っているロックバンドのインターナショナルマネージャーをやってて、海外で開かれるジャパンエキスポにも出てるから、その先でのブッキングをする事が結構多い。

最近はアメリカとイギリスのツアーのブッキングもしたしね。

イギリスは、自分もバンドやっていたからわかるし、知り合いもいる。その分アメリカは難しかった。でもブッキングをお願いしている中で、向こうのバンドが共同企画とかを提案してくれたりもして、良いものにできたと思ってる。

ROAだけに限らず色んなバンドともそういうことやりたいなぁって思う。自分は日本の音楽が好きだから。

日本には良いバンドはいっぱいいる。『誰も知らない』ってことが多くて。もっと認知を上げたいし、世界に広めたいね。

海外も日本も同じ

海外には100人キャパのライブハウスが日本みたいに沢山あるし、音源渡してブッキングしてもらうのも一緒。

外国人って、結構知らないバンドでも盛り上がるじゃない?日本人のファンは知らないバンドのライブ見ると結構じーっとするけど(笑)

自分は17〜18歳の頃バンドやってて、インディーズレーベルにも入っていたんだけどCDしかなかった。

今はCDをパソコンに取り込んだらスマホで聴く時代で、Apple MusicとかSpotifyとかデジタル配信もあるから、世界中色んな人が気軽に曲を聴ける。もはやCDプレーヤーは必要無いって感じだよね。

それに加えてあらゆるSNSがあることで、日本から普通に海外に向けてプロモーションが出来るから、無料で全世界と繋げることができる。本当にそれはチャンス。海外も日本も同じなんだよ。

みんなMVで結構お金使うけど、既存のファンしか観なかったら勿体ない。

それなら安いお金でMVを撮って、残りのお金で広告出して全世界に見せれば良いんじゃないかって。

結構広告も安いし、まず認知されることが重要で、そこからファンになったら凄いこと。

今やっている自分のバンドも1回勝手に広告試してみたんだけど、それを観て今でもライブに来てくれる人がいるんだよね。

観光客にも、ちっちゃいライブハウス行ったらこういうヤバイの見れるよって

去年から日本に来た外国の友達が、ライブハウスに行きたがってるんだけど、何も情報を知らなくて。どんなバンドがやってるとか、どこでやってるとか。

今の日本はTwitterが主流じゃない?情報流してもすぐ消えちゃう。

だから、オリンピックまでに日本の音楽を海外に広めながら、観光客やオリンピックを観に来る人に向けて「日本にいる間にこういうバンド観に行こうよ」っていう形を作りたくて。

観光客の多くは「とりあえず六本木のクラブ行く?」ってなってる気がするけど、違うでしょ!(笑)

「ライブハウス行ったらこういうヤバイの見れるよ!」「えっ?知らないの?」みたいな感じを色々出していきたい。今のうちにやらないとね。

チャレンジが好きだから

日本のライブハウスの動員は結構難しいと感じてる。正直ノルマがあるのにはビックリした(笑)

「えっ!お金かかるの?」って。イギリスはドリンク代だけとかだし。

ノルマがある中で人を呼ぶにはどうしたら良いか。500円のエントランスにして、例えばチケット代を全部ドリンクチケットでもらうとかしたらどうかなとか。ライブハウスって行けば結構飲むじゃない?

今より良くするには絶対何か他の方法があるって思う。

来日するバンドのチケット代も最近急に上がってる気がする。ギャラ的にお金払わないといけないから分かるけど、チケットは売れた?ってなるし。

だったらもっと安くしてプロモーションしてさ。人が集まれば知るきっかけになるし、みんな飲んだりもするしお金は自然と動く。

NOFXのキャンプフェスなんて、死ぬほどバンド出て3日間で50ドルしない。お金じゃない。

バンドは音楽やってることが一番重要だから、まず観て欲しいっていう。

人が来なければ、頑張っていてもライブハウスは閉めることになってしまうでしょ。

そうしたら大きな箱しか残らないし、若いバンドもライブも出来る場所がどんどん少なくなってしまうと思う。バランスを見つけなきゃいけないよね。

海外も日本と同じで、結構ライブハウスが潰れちゃってるしバンドも減っている。

自分的には日本の問題というか一番思うところが、これがスタンダードだからOKってなっているところ。

若いバンドでも何かアクション起こしたいってことがあれば自分も協力したいと思うよ。

未来のバンドのために

イギリスのパンクレーベルのインターンみたいだな

最近イギリスのパンクレーベルみたいにストリートチームを作ったんだ。さっきから言ってた事とは真逆で、すごい昔のやり方。

自分が14歳のぐらいの頃、イギリスの小さいパンクレーベルが2、30人集めてフライヤーとかステッカーを色々なライブハウスや街で無料でくれて。そのステッカーを色んな所にガンガン貼る。

その頃はまだインターネットが盛んじゃなかったけど、口コミでバーっと広がっていったんだよね。

今は口コミにSNSがあるから、今回ステッカー貼ったのをアップしたら1週間くらいして30人くらい集まった。

チームには、マネジメントをしているROAのことを知らない人も、マネジメントの経験がしたいって入ってくれた人もいたり様々。

海外からも反応があって、チームみんなで意見出し合って、どんどん広がっているところ。

このストリートチームはファンというより一緒にやるっていうスタンス。それが大事なメッセージ。

言う事は簡単だけど、ちゃんと実施する事は難しい

もう時間もお金もかかるし・・・って感じが多いけど、こういったストリートチームがどんどん広がっていけば、レコード会社でマネージャーのイメージで言いなりにならないで、新しい動きが始まると思う。

言う事は簡単で、ちゃんと実施する事は難しいんだけどね。

徐々に自分みたいなマネジメントプロデューサーみたいな人が出てきて、どのバンドも一緒にやっていけたら楽しいだろうな。

自分がではなく、一緒に盛り上げる音楽シーン

ここまで日本のシーンについて考えている人はどれくらいいるのか。

彼の経験からできるマネジメント、そして自らバンドとして感じているシーンの今後は、彼が変えてくれるのかもしれない。いや、一緒に変えるのだ。

彼のチャレンジは続く。そして彼の熱は、冷める事はない。

INFORMATION

ROA Official website

NEATZ Official website

Photo by NISHINAKA

 

RECOMMENDこの記事もオススメ