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「誰も見ていない、その一瞬」を感じる カメラマンゆうばひかり

ART

2018.8.13

アンダーグラウンドなライブハウスを中心に、1人活動を続けるカメラマンゆうばひかり。

独創的な彼女の目には一体何が写り、どう感じているのか。

表現したいもの、そこにある彼女の内に秘めた想いとは。

衝動的に。感じた光景

Photo by ゆうばひかり

オマエら観てたか、アレ!

大学2年か3年かなぁ。そのぐらいの時に、大きなライブとかには行ってたんですけど、ライブを観ながら「これ、何なんやろ?」って考えてたんですけど、次第にモヤモヤするようになってきて。

ライブによく行ってても、イケメンのボーカルしか見てなかったりとか、ベースのスラップしか見てないとかあるじゃないですか?

それが気にいらんくて。なんか、「オマエら観てたか、アレ!」みたいな。

もっとカッコ良い瞬間が、あっちこっちにあるのに。

あれ?もし私が写真に撮ったら、もっと見てもらえるかもしれないと。

それでカメラを始めたんですけど。

1年くらいしてから、もうこれで生活すればいいんじゃないかと思って、1浪して入った大学を辞めて、1人暮らししながら今はカメラ1本で、って感じです。

最初は知り合いもコネも全くなかったのでTwitterでカメラマン募集って検索して。それでヒットしたのが、下北沢にあるミュージックバーだったんです。週末のイベントの模様を撮って欲しいみたいな募集やったんですけど。

そっからバンドマンとか、ライブハウスの人とか紹介してもらって繋がっていき。小さい箱に行くようになってめっちゃ広がっていきました。

カメラマンてホントは必要なくて、プラスαの存在

Photo by ゆうばひかり

私は元々ライブに行ってて、キッズ出身なんで、殴られたり蹴られたりとかは、全然大丈夫なんですけど。カメラマンて、邪魔なんですよ。

そもそもライブは、バンドとお客さんと、あとPAさんと照明さんと、ライブハウスのスタッフさんとかがいれば成立するもんなんで。カメラマンてホントは必要なくて、プラスαの存在なんですよね。

その日来れなかった人を写真で楽しませるとか。来てた人の思い出に残すためとか。だからライブの時間っていうのを邪魔しては絶対にいけなくて。

視野に入らないようにとか、ぶつからないようにとかは、気をつけています。だから逆に、もう私のことを気にせず、殴ったり蹴ったりしてもらえる方が、気持ち的には楽ですね。存在を無くせているので。

感じてるって良い言葉やなぁ

ライブ写真はとにかく撮ったそのバンドの人に喜んでもらえることが嬉しくって。

色々なジャンルのバンドを撮らせてもらえるんですけど、「良いねぇ、これ。感じてるねぇ」って言われたのがめっちゃ嬉しくて。あ、感じてるってめっちゃ良い言葉やなぁって。

それからは写真を選ぶ時に「これは感じてないから消す」みたいに基準になりました。情熱的な感じとか、汗の飛び散る格好良さみたいなのがよく表れてる写真が好きです。

ただ、頼まれて撮る写真っていうのは、自分が一番良いと思う写真と相手の良いと思う写真が違ったりする。

それは経験を積んでいってみんなの良いというものもわかるようにならないといけないな、とは思っているんですけど。

カメラマンとして磨かれる感性

あんまりみんなが見ていないようなところが好き

まだ仕事には繋がっていないのですが、風景とか結構好きで。

でも、キレイな風景とかよりは道端の汚い写真とか、あんまりみんなが見ていないようなところが好きです。そこが一番撮りたいって瞬間。その瞬間しかないとかが好きです。

夕日の時間って短いじゃないですか。西日が差す30分とかの間にできるあまり見たことのない影とか。あとは人がコケている瞬間とか。

キレイな風景の写真とかキレイな女性の写真とかって、キレイやなぁとは思うけど面白くないじゃないですか。

写真さえ上手かったら、誰でも撮れるみたいな写真が苦手で。上手いに越したことはないんですけど。下手でも良いから、誰も撮らへんような見たことないものが撮りたいんです。

他の人がやることはその人に任せて。

あんま人の言うこと聞きたくなくて

ライブ写真を撮る時は、他のカメラマンさんとイベントの中で同じバンドを撮ることはあるんですけど、実はあまり人が得意じゃなくて。

だから「会社に入らないの?」とかもよく聞かれたりするんですけどね。あんま人の言うこと聞きたくなくて。ってのがありますね。

1人で出来ることは全部1人でやりたいです。

現場で学べると思ってカメラの学校も行かなかったし、ライブ写真やポートレートとかはネットで調べたり。

そもそも写真を撮ることをあんまり仕事と思っていない、と言ったら失礼かもなのですが。

仕事としてのプライドはもちろんあるんですけど、サラリーマンの人が思う仕事みたいな感じがなくて。

私自身が写真撮ってないと死んじゃうんです(笑)

「ヤバイ最近編集に追われすぎて撮ってない、しんどい」みたいな感じで。今は1人でこのバランスが取れてるかなぁとは思います。

目指している人はいない

写真集とかは好きで集めていて、良いと思ったらすぐ買っちゃうんですけど。

好きな写真家はいっぱいいるんですけど、荒木経惟さんの写真集はいっぱいありますね。

尊敬はしていますね。尊敬って何ですかね、難しいですけど。

人を目指すと、その人までにしかなれないじゃないですか。だから人を目指すってのが好きやなくて。好きな写真はもちろんありますけど、その人が撮ったから全て好きっていうこともないし。

だから自分の写真が一番好きです(笑)だいたいどれも上手くいったと思ってて。

この人を目指している!みたいな人は特にいないです。

動いているものを止めたい

今撮りたい写真がいくつかあるんですけど、サーカスを撮りたくて。誰か紹介してください(笑)

サーカスって動きで見てもう凄いじゃないですか。でも多分、その凄い動きが止まる時にも凄い一瞬がいっぱいあると思うんです。それを、止めたい。

止まってるものを撮るのはあんまり好きじゃないんですよ。動いてるものを止めたいんです。

あとは映画撮影しているところを撮りたいです。俳優さん、裏方さんも含め。作り込まれていくその場にあるものを。

親が撮る写真っていうのは、私は勝てない


私が子供の時ってまだフィルムしかなくて。凄い手間もお金も掛かったと思うのに、めっちゃ写真を残してくれてたことに感謝しかないですね。

写真ってもちろん技術もめちゃくちゃ必要やと思うんですけど、同じくらい感情とか愛情も大事やと思っていて。親が撮る子供の写真っていうのは、私は勝てないと思う。凄く温かい。

ライブでも、初めて撮っても良いものが撮れるっていう実力は大事やと思う反面、ずっと付いて回って撮ってるバンドってやっぱり他の上手なカメラマンさんには撮れない写真っていうのが撮れると思うんですよ。

ずっと撮ってるからこそっていう、この気持ち。

カメラマン発信で音楽が広がっていく

私の撮った写真を友達が見て、そのバンドを聴き初めてくれることとかがあるんですよ。

「この写真、何か良いなぁ、聴いてみよ」って。それで私の好きな、音楽が広まって行ければ嬉しいです。

カメラマン発信で音楽が広がっていく。なんか嬉しいです。

「感じる」を求めて撮り続ける

誰も見ていない場所を見つめ、その瞬間、その現実を写し出すゆうばひかり。

彼女の撮る写真によって、彼女の感じた瞬間に私たちもきっと、今までになかった「感じる」ことができるだろう。

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