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誰にも負けたくない 映像クリエイター marico matsufuji

ART

2019.3.6

プライドが高く、負けず嫌い。

身がぶっ倒れるまで尽くす。

裏方として”人に尽くす”ことに精一杯力を込める。
その人の1番の魅力を引き出し、伝えていく。

そんな映像クリエイター marico matsufujiにフォーカスを当てた。

繋がりって大事だなって実感を得ながら

音大でのグループワーク

私音大行ってて、”映像と音楽”って座学があったんですよ。音楽と映像の関係を勉強するやつで、例えばジョーズの映画を音無しで見たら怖くない。そういう簡単なところから始まって。一応音大なんで、映像の話じゃなく音の話。
音が映像に与える影響が強いみたいなのとかを習って。

それで大学4年生になった時に、じゃあ実際に映像と音楽で何か作品を作ろうってなって。何でもいいんですけど、音大だからみんなだいたい楽器やってるんで、自分達で演奏したのを撮ったりとかしながら、ちょっとしたMV(ミュージックビデオ)みたいなの作ったりとか、今で言うYouTuberみたいなことしたりとか色々やってましたね。

ただ私はグループワークせず「1人でやりたいです」って言って。グループワークだと手が止まっちゃうことあるじゃないですか。例えば絵コンテ持ってるやつが今日休んじゃって作業進まないとか、みんなで話し合ってて意見が割れちゃって進まないとか。だから1人でいいですって言って。

その当時手伝ってたバンドの映像を作ろうと思って、カメラを学校で借りて、ライブ撮ってそれを繋げて。バンドのMVとして出すのと同時に学校の課題として提出したっていう。

これが一番最初の映像編集かな。

好きなことをして生きてたい

大学4年生になったけど、就活も途中でやりたくなくなっちゃって。就職したくなくなって、っていうのはずっと音楽やりたかったし、バンドもやってみたかったし、もうちょっと好きなことをして生きていきたい、みたいになっちゃって。

説明会のときにみんなが同じ服で同じ格好をして話を聞いてるのを見ながら、ダメだこれ、やりたくない。気持ち悪いってなって。それからは就活やめて、ずっとやってたクラリネットをめちゃくちゃ一生懸命やってたんですよ。

そして大学卒業してバンドを始めて、それと同時にやっぱ映像も色々やりたいなって思って、その手伝ってるバンドとか、あとお世話になってるライブハウスとかで撮らせてもらったりとかして、それをYouTubeに上げるようにライブ映像を編集したりして。それを続けてたらバンドメンバーにお前どっちかにしろって言われて。

当時のそのバンドは軌道にのっていなかったんで、じゃあバンドやりたかったけど、今は映像編集やりたい。映像を作りたいからやめますってそこから切り替えて。

それから仕事も変えて、とりあえず時間の使い方とか変えなきゃと思って。でもその時あんまりやること無かったんですよ。だからいろんなとこ行って、「撮らせてください」みたいな感じで。

そこからはイベントのライブダイジェストの編集とか、告知動画とか。ほんとに短い1分とかの動画とかを作るのとか、ライブ映像の編集、その時に知り合った人からライブ映像の編集とかの仕事をちょこちょこもらいつつ、事務の仕事しながらやってて。

やってきたことがちゃんと力になってる

でもこんなんじゃダメだと思って、事務の仕事も一通り覚えたし辞めようと。それから料理動画を作ってる会社に入ったんです。そこで意外と自分って編集できるんだなって思ったんです。

他の周りの子達、バイトの子達とか、上司からの評価とかで、「あ!意外と私できる、今までやってきたことがちゃんと力になってる」って実感をそこで得て。このまま遠慮しちゃだめだと思って、そこから色んなレーベルの人とかとできるだけ話して仕事もらおうとか、ちょっとだけ積極的に動いて。

そこから繋がったのが、CATCH ALL RECORDS(キャッチオールレコーズ 以下キャッチオール)というレーベルで。最初の発注はレーベルツアーの動画撮影と編集の依頼。

ちゃんとやった仕事って言ったらあのキャッチオールのやつが最初。ちゃんとしたお金をもらってしっかりやってるっていうのが。

しかも今後につながりそうな、単発じゃなくて。そこからキャッチオールの所属バンドのMVを撮ったり、編集したりさせていただくようになって。

そのあたりで始めた仕事が化粧品を紹介する動画の会社と、居酒屋のバイト。

とにかくもっとクリエイティブに繋がる仕事にしようと思って。

居酒屋のバイトは繋がり作りと気分転換。そこで知り合ったお客さんの動画をちょこっとやったり、結婚式の動画頼まれたりとか。それもちゃんと繋がってくれて。

どんどん繋がってるなって、繋がりって大事だなって実感を得ながらやれてました。

それから私がスタッフとしてお手伝いさせてもらってるバンドがいて、そこで知り合ったバンドさんとかがMVを評価してくれたりとか頼んでくれるようになって。

本当にどんどん広がっていきましたね。今では、年間でいうとMV20本くらいになるのかな。公開してないものとか入れるともう30本とか。

この作品は可愛がれる子になるんだろうか

個人編集者のメリット

今スタッフしてるバンドのMVとかツイッターに出す動画とかのクリエイティブは全部私がやってるんです。

それを知った対バンの人たちとかから「細かいこともこの人頼める」って思ってくれたみたいで、MVじゃなくてもちょっとTwitter用でオフショット撮っといてください、みたいなのとか相談してくれたりとかも多くなって。

そこからはいろんな相談を受けることにしてみて。

MV作成でも基本的にはディレクションはやりますけど、できるだけみんなで作っていきたくて。メンバーさんとかレーベルの人とか周りの関係者とか、あとその場にいたカメラマンとかも全部含めてみんなで作りたいんです。

だからバンドさんにもお任せしますって言われても一応ヒアリングしてどういうの作りたいとか、こういうの好きなんですっていうのは聞いた上で、どこまで反映できるか分からないんですけど、そういうのはちゃんと汲み取ってやる、汲み取ってあげたいなって常に思ってます。

例えばそれによって修正が何回もあるとか、ほんとだったら修正1回でいくらとか、修正何回まででこれ以上ダメですってなるものですけど、まあ限度ありますけど、できるだけ叶えてあげたいって思います。

これが企業、会社だと難しいですからね。その辺は個人編集者のメリットかなって。

子どもみたいなもの

作品が完成したときは、本当に嬉しくて。

子どもみたいなものですからね、何時間も何十時間もかけて、何なら何ヶ月もかける作品とかもあるので、子どもみたいに自分で何回も完成した動画見ちゃうし、その自分がかわいがってる子どもを「良かったです」って言ってもらったら嬉しいじゃないですか。それが一番楽しいっていうか喜びですね。

もちろんしんどいのはいっぱいありますけど。寝れないとか、きちーみたいな。撮影の時間が長くてきちーみたいのはありますけど、それよりも一番しんどいのは、それこそ思っていたものが思い通りにできないとか。イメージはあるんだけど、、、それを具現化できてないなとかけっこう。

もらった映像で編集することがけっこう多くて、こうしたいけどできないっていう時とかはけっこう苦しんでます。
自分で撮ったやつとかでも、何でもっとこういうふうに撮らなかったのかとか、ほんとはあっちゃいけないんですけど、でもやっぱ欲が出てきちゃうんですよ。

ここにこういう映像あったらよかったのにって思いながら、果たしてこの作品は可愛がれる子になるんだろうかっていう不安と戦ってる時がけっこう一番しんどいかもしれないですね。

でも最終的には納得いくものがちゃんと出来上がって。終わったときにはやっぱ喜びは半端じゃないです。そのバンドさんにできましたって送って、「めっちゃいいじゃん!」って言われた時とか、もう最高の喜びですね。

その先に繋がってくれるようなもの

例えばバンドさんとかクライアントともっとこうしたら良くないですか?とか、私はこういう思いでこういう映像で差し込んでるんですけどどうですかってやりとりするのは割と好きです。

何でもそうなんですけど、それを見た時にもっと知りたいと思って欲しい。
例えばバンドだったら、もっとこのバンドのこと知ってみたい、この曲で終わりじゃなくて、このMV見てめっちゃ良かったからもっと知りたい、もっとライブ見てみたいとか、CD買ってみたいとか他のMVも見てみようとか次に繋がって欲しいなって思ってて。

作る上でもっと調べてみよって気持ちになってもらえないと意味無いなと思ってて。これ良かったな、はいおしまい!っていうのじゃなくて、”その先に繋がってくれるようなもの”にしたいって思ってます。

これで何を伝えたいとかもちろん一個一個にあるんですけど、基本的にプロモーションの映像が多いんで。化粧品にしたりMVにしたり、結局プロモーションなんで、何か次に繋がってくれないと意味ないなとは思ってます。

すごく音楽をやってきた自分の強みでもあると思うんですけど、プレイヤーの気持ちを絶対理解できると思うんですね。練習する苦しさとか、自分が思うように弾けない、歌えない苦しさとか、バンド活動がどんだけしんどいかとか近くで見て、自分でやってみて、その中で作るMVだからたぶん気持ちは絶対バンドに寄り添ってあげられると思うから。

実際はどうか分からないですけどそう思ってます、そう思ってやってます。
だからもっと知って欲しいと思えるような動画を作るとか、そういうのは絶対ぶれないようにしようと思ってます。だからお客さんとかYouTubeとかのコメントとかで、ライブ行きたくなったっていうコメントとかあるとすごく嬉しい。

私にとって映像は一番バンドに力を貸せる一個の手段だったのかもしれないなと思ってて。今ではそれが一番好きなことになったし、音楽に力を貸せる素材になってるからやってるのかなって最近思うんです。

音楽やってる人を応援していきたいんですよ。それがだから最悪、もうこの先映像の力が及ばなくなったとして、逆に好きなバンドとか作りたいアーティストが、自分の手の届かないところにいってしまっても、違う形ででも、そういう風な人たちを応援できたらいいなと思います。

でも今は必要としてくれてる人が多い気がしてるので、だから頼んでくれてる人たちも多いですし。だから頑張れる限りは頑張ろうかなって。でも音楽の側にはいます。

今一生懸命やってれば、またその時その時で道があるでしょうって思って。どこまで自分の力通用するか今分かんないんで。でも今は私が作れるもの作っておけば、作っておけばって言ったらあれですけど、作ることに集中していればって。

周りが見えなくなっちゃう。ぶっ倒れるまでやる。

自分の中にデータ化

もともと物作りは大好きでした。私美術も技術も5、家庭科も5ですし、自分が作った美術の授業で作るやつとか、そういうのも今だにとってます。
納得いかないと、さっきも言ってたけど可愛がれないじゃないですか。一生懸命作ったっていうのは今でも捨てられないから残ってて。

今はしないですけど若い頃はやっぱアルバム作るとか、クリスマスカード全部ゼロから作るとか。あとパスタを粉から作るとか?粉からっていうか、こねちゃうみたいな。カレーもある程度おいしいのできるようになったら、次スパイス自分で調合しちゃうとか。こだわりが強いんですよね。

コーヒー豆も一個じゃなくて何種類も欲しいんですよ。今日は何にしようって。これはちょっと荒く削ったほうがいいとか。これはゆっくり落としたほうがおいしいとか知識を得た上で実践してみてやるのが楽しいんです。愛着も沸いてくるし色んな物に。

クラリネットやってる時とかも、ちょっとここねじ締めると良くなるとか、本番前にちょっとだけここをヤスリで削ると良くなるかなみたいな。ほんとにちょっとのことを。そういうのも全部ノートにメモして、今日は調子が悪かったとか全部ばーって書いてあって。

そのあとノート見て、これ1週間前は全然だめだったのにすごいこれ良くなったみたいな。じゃあ元々こういうやつ選べば、きっといいのに育つみたいなどんどん自分でやってくんですよ。 ちゃんと自分の中にデータ化っていうか理論として検証して、もうこのパターンでいけるみたいな。

けど逆にその検証するのに夢中になりすぎて、時間かかりすぎちゃったり。勉強でいったら、ノートを作ることに夢中になって、ちゃんと勉強できてないみたいなのになりがちなんです。

それが逆にあだになるというか、もっとラフでいいんだよって言われるときもありますし。

集中力も結構ある

集中力も結構ある方なんで一晩中やってたりとか、気付いたら昼だけどみたいなのとか全然。徹夜なのか徹昼なのか分からない。映像編集者はそうならざるを得ないんですけどね。たぶんそれが嫌じゃないし、たぶん集中しやすいんだと思います。全部そうだけど。

吹奏楽やってる時も何時間も合奏とかある環境にいたから余計にじゃないですかね?6時間合奏まじかーってなる。ずっと合奏かってなっても意外にやってきてたから。だから長距離運転も8時間くらい余裕でできますし。

だからよく自分の長所と短所、書くとしたらその対ですよね。集中力めっちゃありますみたいな、忍耐力もめっちゃありますって。でも夢中になりすぎる、短所。周りが見えなくなっちゃう。ぶっ倒れるまでやるみたいな。終わった頃にはやばい風邪引いてる。熱出てるとか。

「はいみんな殺したー」

私、プライド高いんです。これは自覚はしてるけど周りに言われたから自覚したんじゃなくて。あと最初とっつきにくいとか。仲良くなって一年くらいなったらやっと本性見えてきたみたいなのとか。すごい言われますけど。

何だろう。とにかく私はめっちゃ負けず嫌いです。
ほんとに負けず嫌い。吹奏楽とか音楽やってると、点数付けられるじゃないですか、オーディションとか。その目に見えて分かるもので負けたくなかったりとか。

中学の時とかにオーディションがあって、自分は絶対負けてないって思ってるのに、でも点数とかオーディションで落ちて、本番出れないとか。めちゃくちゃ練習しましたもんね、その次の日。馬鹿みたいに朝錬するとか、悔しすぎて。もう一回オーディションやってくださいってお願いしたりとか。

あと逆に勝ったときとかは、「はいみんな殺したー」とか。

大人になってからは料理動画の会社やってる時に、ノルマあるんですよね。何時間で何本やらないといけないとかあって、アベレージ出るんですよ。今日この子何時間で何本作ったからとか。

月間のが出るので順位は付けられないですけど、それが断然時給に反映されるんでもちろん頑張るんですけど、今日の結果見て、「はい今日もみんな殺したー殺したー!」ってなって、それがモチベーションみたいな、ちょっといいモチベーションかは分からないですけど。

何で?みたいな結果になってると、次の日から爆速ですよね。絶対今日負けないとか、来月は絶対負けないって。

尽くしてあげたい

映像で衝撃を人に与えられたらすごいだろうな

フォール・アウト・ボーイのMVをYouTubeで見てたんですよ。色んなMVを見てきて一個だけ、曲がめちゃくちゃ好きだったんでこのMVなんだろって見たときに、曲はもうすでに知ってるじゃないですか。その上で見てるので。そしたら泣いたんですよ。

別に悲しいMVでもないし、別にすごい感動的なMVでもないんですけど、何か知らないけど泣いちゃって。パソコンの前でそのMV見ながらぼろぼろ泣いちゃって。かっこいいとか、すごいとかじゃなくて、何の無感情で涙が出てきて。

すごく抽象的なことですけど、そういうものが作りたいなっていうか、そういうのすごいなって思って、そういう衝撃人に与えられたらすごいだろうなとは思う。

そのバンドの感情が分かるから、今色んなバンドのやつ見るとこういう思いで作ったんだとか、大変なんだろうなとか色々邪念があるじゃないですか。邪念っていうかPVを見る上で。

でもその何もない感情にナチュラルなフラットな状態であのMVを見たときに、あんな泣いたのはなにかあの時あったなって思います。ずっとあの時のこと忘れられなくて。すごいあれだけめちゃくちゃ印象に残ってるんですよね。そのMVを見たときの感動っていうのは。

そういうのをすごいなって思って、与えたいなって強く思ってるわけじゃないですけど、でもああういうのを人にも分かってほしいなっていう。

何か分からないけど涙出ちゃったみたいな。ライブでもあるじゃないですか。

ライブとかで何か分からないけどすごい泣いてきちゃったみたいな。ここだとか、あそこが良かったなって言えないけど、今日のライブは泣いちゃったみたいな、たぶんそれと似た感情かもしれないですけど。

あれをもう一度味わいたいし味わって欲しいし、知って欲しいなとは思いますね。音楽をやるにしても物作りするにしても、そういう時にまだ続けようと、もっと頑張ろうとか、こんなんじゃだめだみたいなのエネルギーが一番強いですよね。

 

あなたがやりたいことを実現するために何から何までやりますよ

バンドの良さを出したいっていうのも当然ですけど、踏み込んでいけば、このMV公開するのはこのタイミングでこういう風にやってった方がいいよとか。その一歩踏み込んだところまで一緒にやってあげたいんですよね。

こういう風にプロモーションしたりとか、サムネイルも最近出してあげたりとかしてたんですけど、もう一歩一歩深いところで、深くバンドとやっていきたいです。

根本は1人でやりたいとか散々言ってきたんですけど、基本的には誰かに尽くしたいので、自分がトップに立つよりはこの人についていきたいとか、この人達と一緒にやりたいってところで、一緒にやりたいし尽くしてあげたいみたい。

この人が叶えたいものを叶えるために、私が全力を尽くすみたいな生き方してるんで、自分がトップに立って何か事業やるとかっていうのは考えてない。だからすごい大事な人がやろうと思うんだよね一緒にやろうって言われたら、あなたがやりたいことを実現するために何から何までやりますよみたいな、そういう感じ。

イタリアンでバイトしてる時も、そのオーナーがこういう店作りしたいからって言われたら、それをやるためには何をしたらいいかみたいなのとか、普通の事務の仕事してても、自分の上司の意見を上に通したいからそれを通すような資料を作るとか。

”人が叶えたいものを叶えるために、私が全力を尽くす”っていう気持ちは、ずっと変わってないのかな。

最強の裏方

ものづくりが好きで、そしてプライドも高い。

そんな彼女が選んだのが裏方の映像クリエイター。

どんな形でも”誰かに尽くすこと”を追求しながら、自分のプライドをもって作品(子ども)を完成させている。

彼女の作品でまた誰かが”次に繋がる”。

話の中で彼女から出てきた言葉は、とてもまっすぐで純粋な”人への想い”だったように感じた。

そんな彼女、marico matsufujiの作品をこれからも観ていきたい。

INFORMATION

MARICO ​MATSUFUJI WEB SITE

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