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自分が好きだったことを追求し続けて切り開いた道 レコーディングエンジニア DEVU氏

MUSIC

2018.8.7

レコーディングエンジニアと聞いてどんな事をしていると想像するだろうか。

定義としてレコーディングエンジニアとは、一般的にレコード・CDなどの音楽録音物の制作に従事し、音響の録音と調整などを行う技術者のことである。

毎日人々が聴いている音楽の裏側には彼等なくして音楽は成り立たないと言っても過言ではないだろう。

そんな縁の下の力持ち的な仕事を独学でやり始め、生計を立てているDEVU氏に焦点をあてて、レコーディングエンジニアになった軌跡、またこの仕事をしていくには何が必要なのかということを語ってもらった。

独学で切り開いたレコーディングエンジニアという道

サラリーマンなんかより、もっといい業界が自分にはあるんじゃないか

当時はバンドをやりつつ、サラリーマンもやっていて。

サラリーマンをやってると、土日にライブ出来るのが幸せだなっていう考えでいたんです。

でも、もっといい業界が自分にはあるんじゃないかって思い始めて退職して、何がしたいのかなって考えながら、曲作りをする日々を送っていて。

元々、原宿のATTIC STUDIOってところに、CLEAVEってバンドのボーカルの人がレコーディングエンジニアとしていて、その人に雇ってもらってたんです。色々パソコン関係の話とか、どうやってDTMを使うのかとか色々聞いてて。

それで仕事辞めたタイミングで、その人と連絡を密に取るようになって言われたのが「お前は、結局なにになりたいんだ。お前ちょっと中途半端だぞ、そんだけ興味があるのに」って。

僕も結構その当時はふわふわしてて、友達のバンドミックスを頼まれた時にぱっぱとやる程度で。

僕もレコーディングエンジニアとして生計を立てるなんて、なかなか覚悟できなかったのもあったし、そういうのを分かってたんでしょうね。

色々考えた結果、その人に「なります!」って宣言して本格的にやるようになりましたね。

それが、レコーディングエンジニアを始めたキッカケでした。

「コミニケーション」と「直感力」と「絵にすること」が大切にしていることですね

一番の醍醐味っていうのは、やっぱり一緒に一つの作品を作り上げていくって事。

頑張るのはバンドさんだったり演者さんですけど、それをリリースして上手くいったりしてるのを見ると「よっしゃ!」って思いますよね。

親心的なやつじゃないですけど、そういう所ですね。

バンドはどんな音源にしたいか、どんな事がやりたいのか決まってて、そこをコミュニケーションをとらないと一直線に同じ方向へは向かないじゃないですか。

それが、上手く合わなかった時はお互いにフラストレーションとか溜まっちゃいますし。最終的にまとまれば結果オーライですけど、まとまらないこともある。

そういう時は、辛いっていうか「なんかなぁ。。。」みたいな感じにお互いなっちゃってるんですよね。

だから、どうしたいとか、 どういう物を作りたいとかってのは、やっぱり率先してコミュニケーション取っていくようにはしてます。

自分の考えとして、根性論とかになっちゃいますけど「深く考えないこと」「変なことを考えない」ってことを、僕の場合は心掛けていて。

色んな人がこの業界にもいて、みんな試行錯誤しながらやってると思うんですけど、最近よく思うことは直観が大事だと思います。

パッと聞いて、その瞬間に思ったことをやった方がいい結果がでるなってのは思いますね。

そういう意味でのあまり考えないすぎない。 あとは「絵になっていること」。

ちゃんと、そこに楽器があるんです。頭の中で想像できるんですよ。

ここにバスドラがある、ここにスネアがあって、タムとかもちゃんとあるぞみたいな。

音像がはっきりちゃんとしてて、立ち位置が見える。

このバンド4人なんだなとか、そういう感じがちゃんと伝わるような感じの音源にしたいと思っています。

人が吸った後のタバコを吸ったりする日々もありました


レコーディングエンジニアを始めてからは、やっぱり自分の機材が欲しくなるんです。あれも必要だ、これも必要だっていうのを給料入っては、バン!って注ぎ込んでたんです。

これあんまり友達にも言ってないんですけど、 一時はご飯もタバコも買えない状況になってて(笑)

僕、普通にタバコ吸う人なんで買えないのが本当に辛くて。

会社の上司がとかが吸った後のタバコを隠れてこそこそ吸ったり、持って帰ったりしてましたもん(笑)

やばい!今日ご飯食べてないけどあと100円しかないみたいな。

うまい棒10本買って、小分けに食おうみたいな日々はありましたね。

レコーディングエンジニア始めてから2〜3年くらいはそうだったと思います。

そこから、なんとか周りに認めてもらえる様になってからは、ようやくご飯も食べれるようになりました。

ただ心が折れそうな時ってあんまり無くて、頭の中であれ買おう、これ買おうって、1年後にはこれぐらい機材があって、みたいなのを想像してたら結構楽しくて。それに救われてましたね!

自分でレコーディングスタジオの部屋を作っちゃうくらい夢中でした。

部屋の改造も込みで500万くらいしたのかな?吸音してくれる素材を壁に取り付けたりとか、自分でできるところは自分でやりましたし。

興味があるという気持ちと、そのことを考えると楽しいという気持ちでやってこれました。

あんな苦い思いもう二度としたくない・・・

初めたての頃は、自分も思うように動けないというか。

コミュニケーションも上手くいかないし、録ってる最中も怒られたりとかしてて。

もう、悔しすぎて僕泣いた事もありましたもん。

コントロールルームとブースっていう、録音している部屋とは分かれて作業する部屋があるんですけど、ブースにはバンドがいて。

僕が1人で画面見ながらテンパっちゃって、「ちょっと待ってくださいね」って言う毎に5分とか10分とか掛かってて。向こうは自分たちの声が聞こえてないと思ってて会話してるんですよ。

僕が作業しているコントロールブースっていうのは、ボタンを押して声が向こうに聞こえる仕組みになっているんですけど、向こうの声ってミキサー上がったままだから聞こえてるんです。

ごそごそ話してて「あいつなんだよ」っていう感じのとか、「これはもう払えねえな」っていう会話が聞こえてきて。

それが結構トラウマになってて、こういう感じのミスは絶対しない、あんな苦い思いはもう二度としたくないって思いました。

レコーディングエンジニアの現状に向かい合った時

誰でも出来る身近な時代になってきてる

元々レコーディングって、本当にでかいスタジオに行かないと出来ないもんだったじゃないですか。

でっかい卓があって、それがあるからレコーディングできるって環境だったんですけど。今どんどん、パソコンとかもそうだしレコーディングの機材ってのも縮小されていってる。

だってもう今、ipadで録れちゃう時代じゃないですか。

実際今大きいスタジオでもエンジニアが足りないっていう状況みたいで、 皆独立しちゃうんですよ。

機材の値段が下がって、コンパクトになったのが一番でかいと思います。

20年前とかで僕がレコーディングやりたいって言ったら、メジャーのスタジオ行って下積みからやる感じだったんだろうけど、僕も最初から自分で機材買ってやっちゃってるし。

どんどん出来る人がこれから増えてくる。

なんか今、自宅で録音する宅録とか、バンドマンの人達は皆自分の家でっていう時代でもありますよね。

誰でも出来ちゃう時代になってきてるから、やっぱり頭ほんと2,3個出てないとやっていくのは難しいよなって。

頑張ったもん勝ちなのかなって思っています。

自分が発信していきたい

時代が段々変わってきてるってのもあるんですけど、お客さんがドラム打ち込みでもいいですよってなったら、僕の家で全部完結できちゃうんですよね。

まだまだ改築しますけど、ようやく人を呼べる段階にはなったんで(笑)

今はメロディック、ハードコアが主体なんで、ラウドとかメタルコアとかメタルとか、そっちの方もやっていきたいなっていうのはずっと思ってますね。

ジャンルをちょっとずつ広げていきたいというか。

東東京から音楽を発信できるっていうのがあんまり世間的には聞かない言葉なんで、そういう感じのイメージで、自分のレコーディングスタジオから発信していければいいなって思ってます。

笑顔の裏にあった苦労

物腰柔らかな口調の裏にとても熱い気持ちと、ハングリー精神を感じる。

自分が好きという気持ちに素直に行動したり、実際に事を起こすことがどれだけ大変なことかというのは容易にお分かり頂けると思う。

自分のやりたいことのために、生活よりも未来投資として自分に賭けたその行動力こそが今日のDEVU氏を創りあげたのだろう。

彼のレコーディングスタジオからどんな音楽が発信されていくのか楽しみだ。

INFORMATION

Devu Recordings

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