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「自分のためだけど、誰かのためになっているなら」動き続ける職人 堀越氏

SPECIAL

2018.8.15

マニアックなモノマネで人々を楽しませるモノマネタレント、ある時は卓偉まれなトークで野球の裏側を引き出し楽しませてくれるラジオパーソナリティー、パチョレック堀越。

そしてある時は和菓子職人として、グラウンドキーパーとして、バンドマンとして。

二刀流が世の中を騒がせる中、彼は四刀流に挑戦し、パフォーマンスを発揮する。一体彼のエネルギーは何なのか。

モノマネラジオパーソナリティー、パチョレック堀越の誕生

本当に野球が上手くなるためにマネしてた

モノマネ始めた時ってのが小学校の時。

小学校の時に野球チームにいてコーチはいたんだけど、全然具体的は方法とかを全く教えてくれない監督やコーチだった。

とにかく上から叩けとかそういう指導しかなかったから、誰かのフォームをマネしないとわからなくて、とにかくいろんな好きな選手のフォームをマネしてた。

自分ん家の和菓子屋がガラス張りだから、街灯に写ってる自分のフォームを誰かの選手に真似ようと、手の位置、バントの時、投げ方の足など細かいところまで模写してたのが最初で。

小学校の頃にマネしすぎて、今は逆に鏡見なくてもスタンスの広さや型がある程度感覚でわかるようになってた。

野球が上手くなりたいからマネしてたのがまさかこういう形になるとはね(笑)

打ち上げでふざけてやってたら

不思議なきっかけでね、地元でのライブを急遽キャンセルしなきゃ行けなくなって。

「遊びには行きますって」って言ったら、なんか一人でやってよって言われて。

打ち上げでちょいちょいやってた野球モノマネがまぁまぁ好評ではあったから、店長が「野球モノマネやれば?」って言ってくれて。

いきなり25分の尺をいただいたのが人前でやるきっかけ(笑)

その後先輩がライブに、モノマネ芸人として連れてってくれて、そこで出会った人とたまたま野球の話で肩の調子が悪いって相談したら、トレーナーさんを紹介してくれて。

後日、肩の調子を診てもらったんだけど「モノマネやってるんでしょ?」ってドスの効いた声で言われて。

治療45分なのにモノマネ2時間くらいやらされて(笑)

そのトレーナーさんが、元々プロの球団に関係していた方で、気に入ってもらえたのかご飯連れて行ってもらったり、OBのオフ会とかイベントに呼んでいただけるようになって。

日本三大七夕まつりとかに駆り出された時は何万人の前で紹介していただいて、すごくマニアックな「あの時のあの仕草」そんなのばっかりやってたんだけど、それを初めて野球の知らない人の前でやるみたいな。

訳わからない流れなんだけどそんな感じかな。

失敗した時だけ見て、悪口言うのは違う

球団OBの選手とかマネージャーさんの裏話をよくイベントに出させてもらった時に聞いてて、めちゃくちゃ面白くて。

日本のプロ野球界ってすごい閉鎖的だから色んな情報を閉ざしちゃうんだけど、だからこそ選手の知らない顔っていうか、グランド以外の話を聞くのが新鮮だった。

元々選手とかコーチ批判がすごい嫌いで。

それって結局グラウンド上しか見てないから、そういうこと言えるんだろうなと思って。

プロ野球選手も人間だし、結局あの人たちは仕事が野球なだけで失敗もするし成功もする。失敗した時だけ見て、悪口を言うのはちゃうだろうなと思ってて。

そんな中、インターネットのラジオ局で後輩が働いてたんだけど、選手たちの人間らしいところを伝えたら面白いだろうって話が合致してラジオが始まった。

身近に感じてもらいたい

ラジオに関してはとにかくリスナーを増やしたい。本当に面白いものは発信してるから。

それをどうやってより多くの人に聞かせるかっていう。今はそんなに地名度も低いし、もっと一般に知られるくらいに。

動画でも全然良いんだけど。

動画の配信にしろラジオにしろ、やっぱり野球をもっと身近に感じてもらいたくて。

スターだし、雲の上の存在なんだけど、そういう人たちでも人間らしい部分があるって事を一般の人にも聞いたりしてほしいのが夢かな。

それがどっかに響いて、子供達にも野球やりたいなって思ってもらえるように。

昔から触れていた家業につくために

一本、柱が自分に欲しかった

実家が和菓子屋を営んでいて、ずっと和菓子の修行というか勉強はやりたいなとは思ってたんだけど、バンドをやってるとスケジュールが先まで決まっていてタイミングがなかったわけ。

でも一本、柱が自分に欲しかったから調べてはいたんだけど、あんまり募集しているところがなくて。

しかも1からってなると余計になかなか入れるところがない。

実家では後々できるから、東京の名の知れているところで勉強したくて。そんな時に実家に卸をしている会社の人が、今の会社を紹介してくれた。

今は羊羹とか焼き菓子も作るけど、最初は簡単な作業ばっかり。

型抜いたり、鉄板並べるとか。半年したら4人くらい入ってきていきなり先輩になっちゃった。

まだ教えてもらうことのが多いんだけど。。。とは思ってたんだけど、そこから職人さんと変わらない仕事をさせられて。

すごい悪い言い方だけど、結構できちゃったのよ(笑)

一生勉強な世界だから楽しくなんでもやりたい

結構器用だねって言われるけど、不器用だと思ってるし細かい作業が本当に嫌いで集中力もない。

でもなんか楽しくて意外とできちゃって。

今の師匠には「オマエは器用で何でもできちゃうから、逆に追求する心がない」って言われて。

和菓子も実際凄く難しいんだよね、すごく繊細だから。

結局売れれば正解なんだろうけど、果たして売れるものが一番正解なのかわからない。

ただ、将来的に自分が社長になって、1つの店を築いていく時に売れるものを作ることがやっぱり命をつなぐことだから正解って思うのかもしれないね、答えはないんだけど。

ただ一生勉強な世界だから楽しく何でもやりたいなっていう。

季節を感じる

ライブやってたら季節っていうより、何月にこれがあってみたいな。もっと言っちゃえばバイトの給料が月末でみたいな感じだったんだけど。

より季節を仕事で見るようになるっていうのがある。

春だから、次はこれの仕込みしてとか。夏だから水羊羹メインになるからその準備をしてっていう。

和菓子って季節の花や葉っぱを使って、洋菓子よりも季節に合うお菓子を作ることが多くて。桜餅や柏餅、ひなあられなんてのは簡単なところで言えばそこらへんだね。

気温で売れる商品も違うし、特に餅は暑い時には硬めに仕上げて、寒い時は柔らかめに仕上げるとか。水の入れ方だったりで食感も変わっちゃう。だから気温と湿度は毎日気にしてる。

動いていないといられない

やりたいって思ったことができてしまっている

飛び込みで入ったんだけど、今シーズンから横浜スタジアムのグラウンド業務のお仕事もやらせてもらってる。

プロ野球の試合に限らず、社会人野球だったり色々なイベントで貸し出された時のトータルでのグラウンド管理。

プロ野球の時はリリーフカーの運転がメインだけど、ブルペンのマウンド整備とか、バッティングキャッチャーやったりとか、ベイスターズのキャッチャーもやったりする。

結構色々仕事はあるんだけど、もちろん和菓子を最優先にしているから、和菓子の仕事の空いた時間でやらせてもらっている。

タイミングなのか、人の巡り合わせなのか、結構やりたいって思ったことができてしまっているかも知れない。

漠然とプロ野球、野球関係の仕事したいなぁと思って1年もしないうちに間接的に関わらせてもらっている。

もともとやりたいことは何でもやろうっていうスタイルで、興味があればとりあえずやる。

それでハマっちゃったら後に引けないっていう。もちろんバンドもそうだし。

寝る時間削れば人より何倍も濃い人生が送れんじゃん

和菓子はある程度一本筋にしているけど、本当にやりたいことを何でもやって、最近思い描いてる事以上の事が現実となってきて、嬉しい反面焦ることが多くて「大丈夫か俺?」みたいになってる。

和菓子と野球が重なっている時は1日最低2~3時間睡眠だから。

朝4時半ぐらいに起きて和菓子のお仕事、その後野球の試合が21時半に終わってから2時間グラウンド整備。

終電で家に着くのは1時半、風呂入って荒野行動やって寝る。そんな生活。やりたいことやるんだったら寝なくていいやって冗談で言ってたの。

寝る時間削れば人より何倍も濃い人生が送れんじゃんって思ったの。後から「そういえば寝てねぇ」って気づく。

そういう風になろうと思ったんじゃなくて結果なってた。

どこか削ればいいんだけどさ、それは逆に嫌だっていうか。中途半端に全てやるってなるとそれはそれでやりたいこととは違うよね。

やるならちゃんとやりたいと思って。それが結果、睡眠時間を削るっていうことになってるんだと思う。

バンドマン×和菓子職人×野球×グラウンドキーパーとして

音楽と和菓子は真逆

ずっとバンドをやっているけど、バンドに関しては個性の押し売り。

個性っていうか、自分の好きなものをただぶつけ続けているっていうのが自分のバンドのビジョン。

和菓子に関しては一番バンドでやりたくない表現で、万人ウケするものを作るということがビジョンなのね。そこに最初は苦悩があって。

「どこにでもあるものを何で作らなきゃいけないんだろう」「コレってあの店のと一緒じゃん」って。

和菓子に関しては個性とか個人の良いものを押し売りして成功すれば良いけど失敗できないから。

失敗する勇気が今は無いだけなのかもしれないけど。

ちょっと餅の硬さとか伸び具合とか、グラウンドの土の質とかちょっと似てるもんね

パチョレックは、人と違うことをやりたいっていう意味ではバンドに近いかもしれない。

ただどの場面でもメインじゃなくていいなって思っていて。

好きな人のための楽しい時間だったり、何やってるんだこいつはみたいな苦笑い的な感じの方が楽しいっていうか。

例えば誰かのトークショーとかの余興だったり、プレゼンと企画のためのモノマネとかそういうのでもいいんだけど、なんかちょっと人が笑ってくれるそれだけでお腹いっぱいみたいな。

野球のグラウンド業務は逆に和菓子に近くて、すげー職人だなって思った。グラウンド管理ってめっちゃ面白い。

土の質とか水分とかね。超極端だけど、今日打ち込まれたなと思ったら次の日は、絶対打たれないように整備にめっちゃこだわるの。

今12球団あるけど、12球団のグラウンドキーパーの人達ってすごい職人だと思う。

もうプライドしかないし、絶対優勝させようと思ってやってるから。だから相手を0点に抑えた時とかめちゃくちゃ嬉しいよね。俺の傾斜のおかげだろととか思っちゃう本当に、冗談抜きで。

ただ、まずは怪我させないのは絶対だけど、その人が気にならないベストな状態で試合できるようなコンディションにグラウンドレベルを持ってくっていうことに関しては職人だなと思って。

こだわる部分ちょっと和菓子に近いっていうか。

ちょっと餅の硬さとか伸び具合とか、グラウンドの土の質とかちょっと似てるもんね(笑)

結局人を喜ばせるのがすごい好き

自分が工場にいるから、実際に店内で食べてる人の顔とかみたりとかできないし、想像することしかできない。

ただ、友達とかに会いに行く時に、お土産で自分の作ったお菓子持ってこうと思って、駅の売店とかに行った時に前の客さんが「これすごい好きなんだよね」とか店員さんと話しているのを聞くとすごく嬉しいなって思う。

食べてるとこ見なくてもすごく嬉しかったりする。

パチョレックにしてもそうだけど、結局人を喜ばせるのがすごい好きなのかも。

ちょっとでも喜んでくれたらそれでいい、嘘でも嬉しい。バンドにしてもそうだから繋がってるのかも結局ね。

人を喜ばせる職人

落ち着いていられない。常にエネルギー溢れる堀越氏。楽しみを求め人々を楽しませる。
これらも、楽しみ続け楽しませ続け、彼のエネルギーは切れる事は無いに違いない。

INFORMATION

パチョレック堀越のプロ野球ファンスタ!

TNX Official website

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