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自分のやりたい事を信じて描き続けるイラストレーター CHASO.

ART

2019.3.27

熊本を中心にイラストレーターとして活躍しているCHASO.
現在は『ちゃそアイコン』という、SNS等のプロフィールアイコンに特化した似顔絵や結婚式等のウェルカムボードの作成などをしている。

独特なビビットカラーの色使いと悪だくみしているような”ちょいワル感”、そしてなんとも言えない表情が特徴的な作品たち。

そんな中毒性の高い作品を次々と生み出す”ただのイラストレーター”ではないCHASO.の作品と彼女自身の物語について話を聞いた。

自分が思いついたままに、自分が納得するまで

イラストやデザインの経験はありません。

小さい頃から絵を描いたりはよくしてたんですが、将来イラストレーターになりたいとかそういう気持ちはなかったです。

学生時代はお手紙の端っこにちょこっとしたイラストを描くのが好きだった子、という程度です。

学生時代も美術の時間は大好きでしたが、いつも下手くそで、何かに入選することすらなかったです。ただ好きなだけでした。

そんなこともあって進路は美容系の学校に行きました。元々美容は好きだったので授業も含めて学生生活は楽しかったです。
でもなんだかしっくりこなくて卒業後も美容の道へは進まず、約9年アパレルの販売員をしていました。

何をしても良いんだ。

小さい頃からルーニーティーンズが大好きで、特にバッグス・バニーが大好きでした。

主役なのに、ウサギなのに、性格が悪い。
そんな世界観に魅了されまくってました。

そして徐々に、タートルズやアメリカの雑貨なども好きになっていって。
高校生になった頃からとにかく派手な色を好むようになっていました。

音楽面で好きだったのは”GOING STEADY”で、解散前の最後のライブを収録した『君と僕とBEEの★BEAT戦争』は何度も見ていて。圧倒的なライブはフォーマンスと全力で音楽を表見する姿に『何をしても良いんだ』と強く感じました。

以前は内気だった私を変えてくれた思い出のDVDです。

描いてみたら意外と、描けたんです。

ずっと音楽・バンドが好きで、その影響で知ったお洋服屋さんで一目惚れしたTシャツにプリントされたイラストを見て一体誰が描いているんだろうと調べたのがイラストを描くようになったきっかけです。

似顔絵に移行し始めたのは、友達のバンドのフライヤーを描かせてもらっていた時です。

フライヤーに描いた女の子のイラストに、自分の好きな服を着せて好きな靴を履かせて好きな帽子を被せたらそれを見た人が私の自画像だと勘違いして『俺の事も描いて』と言われたことからスタートしました。

描いてみたら意外と似顔絵、描けたんです。

そしたらそれが結構好評で、『私も、俺も』と頼まれるようになって。気づけば似顔絵を手に取った人がいつも笑ってくれていました。
こんなに喜んでもらえるなんて嬉しい!と素直に思うと同時に自分が一番楽しんでいることに気づきました。

だけど段々仕事をしながら自分の納得する絵を描いてっていうのが大変になるくらい頼まれてしまって、じゃあ500円で!って今ではそんなやり取りを含めながら、探り探りでこのスタイルを作っています。

私の好きなものばかり

photo by 田村 潤

『好き』を連鎖させたい。

似顔絵サンプルのほとんどは、今話題のあの人とか誰もが知ってる有名人というよりは私の好きな物を描いています。

私の好きな物をイラストとして発信して、それを好きな人が私のイラストに興味を持ってくれて、その人がアイコンにしてくれて、その人の友達もまた私のイラストを気に入ってくれて、ってどんどん『好き』を連鎖させたいです。

去年はカフェやバーのスペースを借りてイラスト展示や販売をしたり、写真を撮ってその場で10分似顔絵一筆描きなんかもしました。

最近の活動は似顔絵アイコン・ウェルカムボード・キャラクター制作がほとんどで、似顔絵ではLINEスタンプやステッカー作成なども行っています。

作品はMacとiPadを使って作成しています。似顔絵1つにかかる時間は約3時間ほど。自分の納得のいくワクワクした物を作るとなるとそれくらいかかってしまいます。それだけ時間をかけてもワクワクできなかったり自分自身が納得できなければ1からやり直したりします。

そうやって試行錯誤しながら描いてきた似顔絵は350人以上になります。
そんな作品のほとんどはInstagram(@chasoxpaint)にアップしています。

やりたい事と直感を信じて。

作品においてのこだわりは、ワクワクすること!
自分がワクワクしていることを形にしていきたいんです。
子供の頃に見たり聞いたりしてワクワクしたものに、今も変わらずワクワクする!ってことありませんか?

私が感じるその”ワクワク”をできるだけイラストに落とし込むことを大切にしています。

なのでキャラクター系のイラストは、頭にあるものを形にできなくてかなりの確率でボツにしてしまいます。
似顔絵は、もらった人が思わず笑顔になってしまうようなものを作れるようこだわってやっています。

あとは、直感を信じて。
今やりたいことを信じて、やりたくないことはしない。

なのでこの先、突然イラストのテイストが変わったりすることもあるかもしれません。

似顔絵の体とかはキャラクター感が出るように意識してますけど、基本的には見たままを描いているつもりなので、顔や表情に関してはただ単にイラストに描くようなままに私には見えています。

何かやらかしたい衝動ですかね。

私は学生時代そんな明るい方ではなかったんです。その頃の自分自身が今の絵のスタイルになっているかもしれません。

今やってることを強いて言うならば、”何かやらかしたい衝動”ですかね。

似顔絵・キャラクター・一筆書きで全然テイストが違うと自分では思っていますし、私が描いたものは全て私自身の作品なので今までもこれからも激しくブレていくと思います。

熊本からの発信にこだわってるわけじゃないですが、熊本という街でやってるっていう誇りはあるし、熊本の街と人のパワーはすごくてたくさんのいろんな刺激と力をくれるので、ただ単純にここからは離れられないって感じです。

似顔絵はコンプレックスをプラスに表現できる

photo by 田村 潤

この際、描かせてくれ!

似顔絵を受け取った時の相手のリアクションで『笑ってしまった』とか、
『私(俺)だ〜!』『似てる〜!』って言われると単純にめちゃくちゃ嬉しいです。

これが似顔絵ならではの醍醐味だと思います。
似顔絵ってコンプレックスをプラスに表現できるところも醍醐味で、たまにここは描かないで!って言われたりもしますが、この際描かせてくれ!と思ってます(笑)

私がイラストに起こすことでその人にとってのコンプレックスが少しでもプラスの方向に向いてくれたら、と思います。

イラストを描く上での辛さは単純で、納期とスランプとそして体調管理!体調を崩したら元も子もないので。
そして基本的にドジなので詰めの甘い凡ミスと説明の下手さにはずっと苦悩しています。

とにかく私を知ってください。

とにかく今は知ってもらえることが大事な時期なので、できるだけもっと多くの人に知ってもらって、今までの活動に加えてグッズ等の作成、個展やポップアップもやってみたいです。ライブペイントもやりたいな。

私自身も楽しくて、そして誰かも楽しんでくれる事を新しく見つけていきたいとは常に考えています。

そして最終的には私の好きな音楽とリンクしたイラスト制作ができたらいいなと思っています。

これからも私のやりたいように、私が思いつくままに、やっていきたいです。

自分を信じ続ける力

自分自身を少しドジだと言いながらもそのまっすぐで強い意志はほんの数十分話を聞いただけでとても伝わってきた。

目に見えない”やりたいこと”を信じ続ける強さ、まっすぐな心がビビットな明るい色と独特のタッチでイラストにも反映されてるように感じる。

そして、自分が楽しむことを前提にしながら相手の楽しさも常に考え作品を制作している彼女は、彼女が作り出す作品以上に彼女自身が周りの人々に愛されているのだろう。

そんな彼女が作り出す『好き』の連鎖がこれからも続くよう、見守っていきたい。

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